松岡久和 著書・論文一覧
(要旨付)

2016月5月12日現在

 研究領域毎に分けて簡単な要旨付で年代順に並べてあります。将来的には、全部についてこのページからダウンロードしていただけるようにするつもりです。近年、長年主張していたように、ようやく公的機関などで論文等の全文データベース化が充実しつつあります。この点で京都大学の取組は少し遅れています。以下、New!マークが付いているのは、ほぼ1年以内に発表したものです。
 私の研究領域は、一見雑多ですが、物権変動論から始まって、財産帰属を中心とした民法体系論に広がっているといえます。最近数年は、不当利得法を主として研究していましたが、現在は、民法改正と連載の物権法講義の単行本化に重点を置いています。

 


1. 総論・総則
  1. 「民法五六六条三項による権利行使期間制限の趣旨」民商法雑誌109巻1号(1993年)105-118頁 最判平4年10月20日の判例批評。同判決は、担保責任の権利行使を制限する期間を除斥期間とし、裁判外の権利行使について明確性を求めた。これに対し、本稿は、一般論としての除斥期間論が実益に乏しい議論であること、期間制限は裁判外での権利行使後の短期消滅時効と解すべきことなどを主張するとともに、同判決の種々の問題点を指摘した。


  2. 「仮差押解放金の供託による仮差押執行の取消しと時効中断の効力」金融法務事情1428号(1995年)25-28頁 仮差押解放金の供託によって仮差押執行が取り消されても、仮差押による時効中断効は継続するとした最判平6年6月21日を素材に、判例・学説の対立点を整理・検討する。理論的には消滅説が優れているほか、最高裁判決の後に消滅説を採用した高裁判決が登場していることからも、今後の判例の動揺の可能性を指摘する。


  3. 「抵当権の実行と消滅時効の中断」金融法務事情1485号(1997年)22-31頁 最判平成8年9月27日は、連帯保証債務を被担保債権とする根抵当権の実行の申立がなされて差押の効力が生じても、差押には請求の意思が認められないので、主たる債務者には時効中断の効果が生じない、とする。関連事件や学説の対立を分析して、最高裁法廷意見を批判し、他方、執行制度の仕組や主たる債務者の手続保障の点から、裁判上の催告を広く認めることにも反対する。結果的に最高裁の河合伸一裁判官の折衷説を支持する。なお、1998年金融法学会のシンポジウムでは、本稿をふまえて質問と意見を述べた。

  4. 「法人 バーチャル・ゼミナール」法学セミナー520号(1998年)46-49頁 特集「民法総則でつまずくな」の中の一編。ゼミナールで上級生が模範報告をしてみせるという趣向で、法人制度が必要な理由、組合との違い、法人の種類と設立要件、権利能力なき社団、組織と取引行為・不法行為を、図説入りで平易に解説する。 


  5. 「手形の裏書の原因関係の消滅と権利濫用」金融法務事情1581号(2000年)50-51頁 手形裏書の原因関係が弁済消滅した場合に手形所持人が振出人に対して行った手形金請求を権利濫用として退けた最大判昭和43年12月25日の解説。伝統的な無因説、これを修正する権利濫用説、手形理論における反映を試みる有因説を紹介検討し、問題の核心が無資力リスクの適正配分であって、無意味な請求の循環を避けられれば十分であり、判断基準の曖昧な権利濫用説にも、振出人・受取人間を問題にしない有因説にも反対して、伝統的な無因説を基本に所持人の請求を否定する場合をより限定するべきだと主張した。


  6. 「手形の裏書の原因関係の消滅と権利濫用 最大判昭43.12.25(民集22巻13号3548頁・金法534号24頁)」関沢正彦、濱田広道監修『企業法務判例ケーススタディ300 金融編』(金融財政事情研究会、2007年)431-437頁 上記5の判例解説をベースに、ロースクール教材を念頭において編纂された本書の仕様に合わせて加筆・修正したもの。


  7. 永田真三郎・松本恒雄・松岡久和『民法入門・総則 エッセンシャル民法1』(有斐閣、1995年、改訂第2版2000年、第2版・補訂2002年、第3版2005年、第4版2008年) モデルケースやコラム・図表を多用する民法の総論と総則のやさしい入門用教科書。同書は好評でシリーズ化し、物権法を刊行ずみ。現在、債権法全部を1冊とするものを執筆中。 第2版は、初版以降の重要な法改正、とりわけ2000年4月より施行された行為能力に関する民法の修正や任意成年後見契約法を織り込んで、行為能力の部分を中心に大幅な内容改訂を行った。参考文献についてもこの間に発行された若干の文献を追加した。第2版補訂は、中間法人法・消費者契約法・特定商取引法・電子消費者契約法などへの対応を行った。第3版は、2003年の担保・執行法改正、2004年の民法現代語化、2005年の不動産登記法改正等に対応した。第4版は、第3版以降の重要な法改正、とりわけ2008年12月1日より施行される一般法人法や法適用通則法の制定に対応する大幅な内容改訂を行ったほか、法律行為の章では、消費者契約法を独立の章に昇格させた。参考文献についてもこの間に発行された若干の文献を追加した。全221頁のうち、97-155頁(第5章-第8章)と213-214頁(参考文献)を分担執筆。


  8. 「日本民法典の改正の検討・総論的問題点」Hallym Law Forum 18巻(2007年)51-63頁 2007年3月29日の大韓民国春川市翰林大学校のシンポジウム「高齢化社会を迎える韓国の法と政治の諸問題」での第3報告。日本民法の特色、近時の日本民法の改正論の高まりの背景、民法改正研究会の狙いと検討の経緯、総論的な諸問題(パンデクテン方式の是非、消費者法の取扱いや民商統一論、条文改正提案の基本姿勢、用語の定義や参照、証明、条文番号)について論じた。なお、37-50頁に尹泰永氏による韓国語訳を掲載。


  9. 道垣内弘人(司会)、池本誠司、潮見佳男、中原利明、松岡久和、森脇純夫、安永耕一郎、渡辺達徳「〈座談会〉債権法改正をめぐって ― 企業実務の観点から ― 」ジュリスト1392号(2010年)4-45頁  債権法改正につき主として実務家からのコメントや問題提起を受けて種々の問題を論じる。


  10. 「金山直樹著『時効における理論と解釈』 (民法学のあゆみ)」法律時報82巻4号(1020号、日本評論社、2010年)110-113頁  民法学のあゆみの報告に基づく書評で、大きな歴史的展開や精細な比較制度研究をふまえた立論の説得力や、判例評釈における丹念で慎重な判例の読み込みを高く評価する一方、実用主義・実利主義に対する評価が一面的ではないかなどの疑問も提示している。


  11. 「民法(債権法)改正検討委員会編『紹介債権法改正の基本方針Ⅰ~Ⅴ』(商事法務、2009・2010年)(民法学のあゆみ)」法律時報64巻5号(2012年)164-169頁 民法学のあゆみの研究会の報告に基づく原稿で、民法改正検討作業の基礎を提供した・トップ研究者による詳細な研究について、総論的な問題に絞って取り上げ,民法学の研究全般に対する大きな寄与を評価するとともに、議論の対象が限定されていることなど問題をも指摘する。


  12. 中田邦博・松岡久和編『新・コンメンタール 民法(財産法)』(日本評論社、2012年) インターネットで展開する学習用コンメンタールの民法全体のうち、財産法部分を紙版で出版したもの。全1122頁の編集調整を中田と共同して担当、解説本体は、281-376頁(用益物権を除く狭義の物権全部)、405-413頁(留置権)、414-418(先取特権の303条・中田と共著)、528-548頁(非典型担保全部)、1009-1031頁(不当利得全部)を担当。
     
      お恥ずかしいことに、私の担当した条文の解説が、別の条文のものと間違っていました。何度も校正をしたのですが、気付かなかったので筆者としても編者としても失格です。お詫びして差し替えをお願いします。

    371

    256条の解説は、正しくは下記の通りです。差し替えをお願いいたします。

    ―――――

     本条は、個人への所有権帰属を原則形態、共有関係を一時的な例外であるとみて、共有関係を解消する分割請求の自由を原則とし、不分割の特約による例外も5年を限度と制約し、特約の更新も同様に5年を限度とする。このように分割自由が原則とされたのは、団体的な制約を加える必要性が乏しい場合には、単独所有の方が物の効率的な利用や改良を促進するのに適切である、との判断に基づいている。少数持分権者からの分割請求を禁じていた森林法旧186条は違憲とされ(45)、削除された。

     分割禁止の特約は、持分権を譲り受けて新たに共有関係に入った者に対しても主張できる(民254条)。ただし、不動産については登記が必要である(不登596号)。

    (松岡久和)



2.物権法、特に物権変動論
  1. 「判例における背信的悪意者排除論の実相」林良平先生還暦記念論文集『現代私法学の課題と展望』中巻(有斐閣、1982年)65-125頁 私の本格的なデビュー論文。民法177条に関して不動の判例となっているといわれる「背信的悪意者排除論」を、紛争と解決の事実的な対応関係に即して批判的に分析する。結論は次の通り。二重譲渡紛争類型において、判例は準当事者類型と不当競争類型に大別される。前者では当事者の主観的態様は問題とならず、後者では実質的には悪意者排除の結論が採られている。いずれにしても、背信的悪意者概念は実質的判断基準として機能していない。


  2. 「不動産所有権二重譲渡紛争について(1)(2・完)」龍谷法学16巻4号65-131頁、17巻1号1-41頁(いずれも1984年) 不動産所有権の二重譲渡紛争に関する判例分析と比較法概観によって、民法177条の「第三者」の主観的態様の問題と対抗問題の法律構成を検討する。善意・無過失・有償の取得者で譲渡人と準当事者関係にない者のみが「第三者」たる資格を持つと提言し、主観的態様問題の結論を支えるに相応しい法的構成として、709条の不法行為規定の考慮を主張する。


  3. 林良平編『基本法学双書 物権法』(青林書院、1986年) 物権法教科書(共著)。第4章 物権の変動、第3節 物権変動の公示、の中の、第1款序説から第5款物権の消滅まで45-96頁を分担執筆。物権変動論に関する基本的な見解を提示している。


  4. 谷口知平ほか『民法総則・物権法[新版]』(有斐閣ポケット注釈全書、1986年) 判例を整序したコンメンタール。第二編物権、第一章総則(第175条-179条)の部分(313-372頁)を担当。


  5. 「真実の所有者が不実の登記を知りながら放置した場合、禁反言ないし権利外観法理により、登記を信頼した第三者に対抗することができないとされた事例(略称民法九四条二項類推適用論の限界)」龍谷法学18巻4号(1986年)97-107頁 大阪高裁昭和59年11月20日判決の批評で、民法94条2項が類推適用される場合の限界事例として、真実の権利者が単に放置していただけでは足りず、民事法全体の帰責根拠と共通のものが必要であると論じる。


  6. 「滝沢聿代・取得時効と登記(一)(二)完(民法学の歩み)」法律時報59巻7号(1987年)108-110頁 滝沢教授の論文「取得時効と登記」の概要を紹介し、その積極的意義と問題点・課題を分析したもの。


  7. 「遺産分割・相続の放棄・遺贈と登記」水本浩編『別冊法学セミナー法学ガイド4民法Ⅱ(物権)』(日本評論社、1988年)44-45頁 以下、10までは同じ本の中での解説論文。学生向けの短い解説論文だが、自分ではそれぞれに力が入っていると自負している。遺産分割、相続の放棄、遺贈の場合に生じる物権変動と登記の関係について、判例と学説の概要を整理したもの。

  8. 「借地の売買と地代請求」水本浩編『別冊法学セミナー法学ガイド4民法Ⅱ(物権)』(日本評論社、1988年)46-48頁 借地人が家を建てて住んでいる土地を買い受け、新たに地主となった者は、所有権移転登記を完了しなければ地代の請求もできない、とする最高裁判例とこの問題をめぐる学説を整理したもの。この種の登記具備が期待できない事例では、登記不要説でなければ困ると思う。

  9. 「不動産の二重売買における未登記の第一買主の保護」水本浩編『別冊法学セミナー法学ガイド4民法Ⅱ(物権)』(日本評論社、1988年)49-51頁 不動産の二重売買紛争の場合に、未登記の第一買主が受けうる保護を、物権法のみならず、債権法、さらには刑事法まで含めて概観し、問題点を整理したもの。


  10. 「登記の遺脱・抹消と対抗力の存否」水本浩編『別冊法学セミナー法学ガイド4民法Ⅱ(物権)』(日本評論社、1988年)52-53頁  登記官の過誤などによって登記が遺脱したり、不法抹消された場合に、登記の対抗力が存続するか消滅するかについて、判例と学説を整理検討したもの。


  11. 「二重譲受人の双方が譲渡人を相続した場合と対抗関係」民商法雑誌100巻6号(1989年)173-178頁 最高裁判所昭和63年12月1日判決の判例批評。二重譲受人双方が譲渡人を相続した場合に、これを対抗関係と見る判旨には賛成しつつ、背信的悪意者排除論が、通常の二重譲渡類型(不当競争類型)とは違う現れ方をしていることを指摘する。


  12. 「多田利隆・民法一七七条の『対抗』問題における実質的整合性と形式的整合性(1)-(3)(民法学の歩み)」法律時報63巻2号(1991年)86-88頁 多田論文を要約して紹介したうえ、その積極的な意義と問題点・課題を整理したもの。


  13. 「差押債権者の実体法上の地位(上)(下)」金融法務事情1399号20頁-26頁、1402号24頁-30頁(いずれも1994年) 差押債権者の実体法上の地位が、通常説かれるように当然に「物的地位」「物的支配権」と評価できるものではない。具体的には、差押債権者には不当利得制度にる保護に値する価値支配がなく、差押債権者は結果的には177条の第三者として扱われるが、詐欺的譲渡防止・未登記権利者の懈怠・差押に対する信頼を根拠にしてかろうじて認められるもので、典型的紛争類型以外では逆の結論に至る可能性を秘めている、と主張する。 同世代の金山直樹教授や山野目章夫教授から高い評価を受けて嬉しい。


  14. 「建物譲渡後も登記名義を保有する者は建物収去・土地明渡義務を負うか」法学教室168号(1994年)148-149頁 最判平6年2月8日の判例解説。従来実質的所有者説を採ると解されてきた判例が登記名義人説を採用したことの意義を判例・学説の流れの中で正当なものと評価するとともに、実質的には判例変更に近い結果をもたらした理由付けが曖昧な「正当の利益」論の延長線上にあることの問題点を指摘する。


  15. 「民法一七七条の第三者・再論」奥田昌道先生還暦記念論文集『民事法理論の諸問題』下巻185-220頁(成文堂、1995年) 最近10年の新しい裁判例を素材にかつて提示した判例分析枠組みの追試を行うと共に、鈴木禄弥教授の公信力説批判、磯村保・吉田邦彦教授の債権侵害論、最近の契約熟度論などを取り上げ、拙稿「不動産所有権二重譲渡紛争について」で示した考え方との対比をし、今後に残る問題点を整理した。準当事者類型が第三者の主観的態様というより競争取引に参加できる主体的資格であること、177条の法定制度論的構成が二重譲渡以外でも応用できること、権利取得者の権利が物権・債権のいずれの段階にあるかで保護に差を設けることを維持すべきことなどを主張した。


  16. 「物・所有権 ── 不動産の所有権をめぐるトラブルと解決法」法学セミナー497号(1996年)36-39頁 阪神大震災に関係する所有権関係の3つの問題を素材にした民法入門。すなわち、「もし権利証や登記簿がなくなってしまったら」では登記と権利の関係を、「倒壊しかかっている隣の建物の取り壊しを求めることができるか」では、物権的請求権の内容と費用負担を、「分譲マンションをめぐる難問」では、共用部分と共同的決定という区分所有に特有な制度を、平易に解説する(特集「民法をはじめよう──震災・『オウム』を素材に」への寄稿論文)。


  17. 「物権変動論の最前線」姫路法学20号(1996年)149-224頁 1995年7月25日に姫路獨協大学で行った座談会風の共同研究会の記録。言いたい放題で面白いこと請け合いです。不動産物権変動論に関する諸問題につき、まず、松岡の報告に基づき、現在の問題状況を提示する。次いで、それに対する七戸のコメントを契機として、主として金山・七戸・松岡の3名が様々な角度から論争を展開し、議論の堀り下げを行った。


  18. 「草野元己・取得時効の研究(民法学の歩み)」法律時報69巻2号(1997年)78-81頁 草野教授の著書を要約・紹介する。草野教授が学説の激しく対立する「取得時効と登記」の難問を時効制度の存在理由から検討される点を高く評価しつつも、多くの疑問を提示し、時効制度の多元的理解を採る自己の見解の方向性を示唆する。


  19. 遠藤浩、水本浩、北川善太郎、伊藤滋夫監修『民法注解財産法 第2巻 物権法』(青林書院、1997年) 民法の詳細な注釈書で、175条関係の項目「特別法上の物権」を執筆(54-65頁)。物権関係を規定する特別法規定の統計的傾向、特別法によって創設される特殊な物権の内容と物権概念一般に与える影響、様々な物権的効果の実質とその根拠、特別法上の物権関係規制の民法規定からの偏差とその根拠を、具体的に規定を指示して概説する。 統計的考察は、厳密ではないが良いアイディアだと自負している。ただし、この当時の法令検索レベルで、ヒットした条文を片っ端から読み解いていくのは、非常に地道で時間のかかる作業で苦しかった。


  20. 「背信的悪意者からの転得者と民法一七七条の『第三者』」法学教室判例セレクト'97(1998年)15頁 最判平8年10月29日の判例解説。背信的悪意者からの転得者が民法一七七条の第三者に該当し、その保護の可否は未登記権利者との相対的な関係で判断されるとする判旨が、判例の基本的枠組みからは自然と導出されると解しつつ、本判決が、背信的悪意者に該当しない者からの転得者の保護についてまで個別相対的に判断すべきだとするいわゆる相対的構成をも判示しているとは解さない慎重な態度を採る。


  21. 「未登記通行地役権が承役地の譲受人に対抗できるための要件(最高裁平成一〇年二月一三日第二小法廷判決) 」法学教室222号別冊判例セレクト'98(1999年)14頁 背信的悪意者排除論をとらず、登記の欠缺を主張する正当な利益という判断基準で未登記通行地役権が承役地の譲受に対抗できるとした最二小判平成10年2月13日の解説。判決の結論は妥当と評価しながら、問題が借地権の対抗などにも広がりを持ち、背信的悪意者排除論との関係は一筋縄では解けないと指摘する。


  22. 「鈴木禄弥『特定物売買における所有権移転時期』」加藤雅信ほか編『民法学説百年史』(三省堂、1999年)178-181頁 鈴木禄弥の同名論文の学説史的意味を解説する。本論文は、具体的問題ごとに利益衡量に基づく妥当な処理を考える機能主義的解釈方法をとり、いつ所有権が移転するかを論じること自体に疑問を呈して大きな波紋を投げかけた。その方向性には好意的な評価が多かったし、契約関係当事者間では契約規範が物権規範に優越することについては、共通の認識となった。しかし、第三者に対する関係に関する鈴木の見解には批判も多い。個々の問題での論争の整理といっそうの議論の展開が待たれる。


  23. 「石田喜久夫先生の物権変動論Ⅰ」石田喜久夫先生古稀記念論文集『民法学の課題と展望』(成文堂、2000年)231-282頁 石田喜久夫先生の物権変動論のうち一七六条論とりわけ物権変動時期論を、鈴木・石田論争の総括し、石田民法学の特徴をあぶり出す。先生の体系志向・論争上手を賞揚する一方、直感的な論理の脆さ・道具論的指摘の欠如を問題視する。具体的な問題については、有償性説を支持し、信用授与説に対しては担保設定の視点から、段階的移転説に対しては第三者論の視点の欠如の点から批判を加える。


  24. 「賃料債権と賃貸不動産の関係についての一考察」西原道雄先生古稀記念論文集『現代民事法学の理論(上巻)』(信山社、2001年)59-101頁  賃料債権とそれを生み出す賃貸不動産の所有権(及びその上の抵当権)がどういう関係に立つかを横断的に考察し、賃料債権の処分と賃貸不動産の処分の優劣を対抗の図式で処理する判例・多数説を支持する一方で、賃貸不動産所有権とそこから生じる賃料債権を全く切り離した形で処理する方向に疑問を提示し、不動産登記簿に公示されない賃料債権の事前処分の効力についての倒産法制との齟齬など、克服すべき問題点を指摘する。


  25. 「不動産物権変動(176条・177条)」法学教室259号(2002年)24-25頁 法学教室特集「重要条文コンメンタール民法21」のⅢ権利の取得2権利取得の対抗要件の分担執筆。条文から出発して、条文の読み方、主要な論点、現在及び今後の課題について、簡潔でやさしく初心者向けに整理したもの。見開き2頁で176条・177条の主要論点を押さえるのはなかなかに骨が折れました。省略がすぎてわかりにくくないかちょっと心配。


  26. 「民法177条の第三者の客観的基準」奥田昌道、安永正昭、池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権』(悠々社、2002年)123-124頁→29

  27. 「賃借人たる地位の対抗」奥田昌道、安永正昭、池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権』(悠々社、2002年)125-126頁→29

  28. 「背信的悪意者の排除」奥田昌道、安永正昭、池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権』(悠々社、2002年)127-128頁→29

  29. 「背信的悪意者からの転得者」奥田昌道、安永正昭、池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権』(悠々社、2002年)127-128頁 26-29は、同一の本に執筆したもので、それぞれ中心となる判決を素材として、当該判決の意義と射程はどのようなものか、判例・学説がさらにどのような議論を展開しているか、今後に残された課題は何かについて、1-2頁で簡潔に整理して解説したもの。判例百選とはひと味違う演習副読本という企画で、便利な本だと思う。ただ、締切(2000年の年末)を守った後で、版型と字数が変更になって当初原稿の大幅な加除訂正の訂正を、忘れた頃の短期間の校正で行わなければならなかったのは、けっこうつらかった。


  30. 「中国不動産取引法の現状と立法課題 ── 登記制度と物権変動法制を中心に」ジュリスト1258号(2003年)76-88頁 棚瀬教授を責任者として科学研究費補助金の助成を受けた「東アジアの法と社会」の共同研究に基づき、その中間報告を兼ねた特集「中国法秩序と21世紀グローバル社会」に寄せた論文。日本語文献を中心に孫憲忠教授の講演・研究会での成果を踏まえて、現代中国の不動産取引法の現状を概観する。そして、社会主義の大枠という建前の中で、行政的管理中心の規律を払拭して、どこまで私的経済取引に純化した規律を行えるかが、農村部への市場経済論理の浸透と相まって最も重要なポイントだと観測する。


  31. 「不動産登記法の改正」法律時報76巻4号(2004年)41-47頁 特集「民事法大改革の時代」に寄せた論文で、主として、登記申請手続のオンライン化を中心に、今年度通常国会に上程されている不動産登記法改正案の概要と問題点を解説する。これまで不動産登記法改正には関わっていなかったので、勉強だと思って引き受けたが、種々の仕事が重なったため、非常にタイトな日程の中で付け焼き刃的に勉強して書いたことを告白しなければならないし、種々の援助をいただいた七戸克彦・横山美夏両教授には、厚く厚く感謝している。


  32. 孫憲忠(鄭芙蓉訳、松岡久和監修)『中国物権法制定に関する若干の問題』」民商法雑誌130巻4・5号(2004年)138-174頁、6号114-134頁 アジア法社研の共同研究の一環として、2003年10月16-19日に京都大学に招聘した中国社会科学院の孫憲忠教授の講演会での講演やセミナーでの質疑応答を、同教授の許諾を得て鄭芙蓉が翻訳し、松岡久和が修正・整理・再構成を施したもの。激動期にある中国の民事立法の中心を担う孫教授の丁寧な問題点指摘と今後の方向性指摘は貴重である。


  33. U.Eisenhardt et al(eds.,), Japanishe Entscheidungen zum Buergerlichen Recht I. Allgemeiner Teil und Sachenrecht, 2004 日本民法の総則・物権の著名判例を判例百選Ⅰをベースにドイツ語で要約・紹介したもので、28、29、30、32、33事件の5件の判決のドイツ語訳とコメントを担当した(221-223、226-229、231-235、244-247、250-253頁)。これは実は10年以上前の仕事なんですね。途中で完全に死んだと思った作業なのに、よくぞゾンビのように復活してくれた、と思います。


  34. 「〈座談会〉 不動産登記法改正①-④」(不動産法セミナー第1回-第4回)ジュリスト1289号、1292号、1294号、1295号(いずれも2005年) 不動産法セミナーと銘打った連続座談会の第1回-第4回で、2004年の不動産登記法の主要な改正点、登記申請方法の多様化、登記識別情報、本人確認制度の整備、登記原因証明情報、実務に対する影響、予告登記制度の廃止、将来の展望と課題などを縦横無尽に論じる。私がこの4回の論点や進行案を担当した。司会:鎌田薫、ゲスト:河合芳光・齋木賢二、レギュラー:道垣内弘人・安永正昭・始関正光・山野目章夫・松岡久和。このメンバーでの丁々発止のやりとりの緊張感がたまらないです(好きです)。


  35. 「物権的請求権」後藤巻則・大塚直・山野目章夫編『要件事実論と民法学との対話』(商事法務、2005年)186-206頁 2005年度私法学会シンポジウム「要件事実論と民法学との対話」に向けた企画への寄稿。物権的返還請求権の実体法上の要件として通常必要とされる被告の無権原占有は、要件事実論では抗弁事実としか位置づけられない。これが招来する矛盾と葛藤を克服する方法を模索し、規範的要件として「不適法状態」をたてることを提唱する。いわばワン・アイディア・ストーリーも良いところなのだが、考え詰めた点をよしとしてください。ゴールデン・ウィークに徹夜した挙げ句、中学校の同窓会を1日間違えて無意味に帰省してしまったという大ボケのおまけ付きでした。


  36. 甲斐道太郎編『新 現代民法入門』(2002年、第2版2005年)第3部第1講「不動産法総説」107-114頁 1987年の『新版 現代民法入門』のアップデート版。ただし、私の担当する不動産法総説の部分は、歴史的あるいは理念的な問題なので、元の原稿からほとんど実質的な変更・追加を施していない。


  37. 「〈座談会〉 平成16年・17年不動産登記法改正(上)(下) 表示に関する登記・筆界特定制度等」(不動産法セミナー第5回-第6回)ジュリスト1297号、1298号(いずれも2005年)) 連続座談会、不動産法セミナーの第5・6回で、表示に関する登記と筆界特定制度を中心に、平成16年・17年の不動産登記法改正の意義を論じている。今回の進行企画は山野目教授の担当。司会:鎌田薫、ゲスト:清水響・松岡直武、レギュラー:道垣内弘人・安永正昭・始関正光・山野目章夫・松岡久和。


  38. 永田眞三郎・松本恒雄・松岡久和・中田邦博・横山美夏『物権 エッセンシャル民法2』(有斐閣、2005年) エッセンシャル民法のシリーズ第2弾で、担保物権法を含む物権法を驚異的なまでコンパクトにまとめた入門書。薄さの割には、基本として必要な情報+αが備わっているので、法科大学院未修者向けの教材として適していると自負しています。私は、第2章所有権(5-44頁)、第5章占有(107-122頁)、第7章共同抵当権と根抵当権(165-178頁)、参考文献(223-224頁)を分担執筆。
     実はこの本は、企画から出版まで5年以上かかりました。共著者がそれぞれ執筆に時間を割けない事情が次々に出てきたり、相次ぐ法改正があって対応に困ったりという紆余曲折があったのです。最終的には、中田・横山という(比較的)若い有力助っ人のお陰で、出版に漕ぎ着けました。この間、ほんとうに忍耐強く待っていただいた有斐閣京都支店の奥村邦男さんと一村大輔さんには、深く感謝します。


  39. 「〈座談会〉 事業用借地権の使い勝手(上)(下)」(不動産法セミナー第7回-第8回)ジュリスト1299号132-156頁、1300号130-146頁(いずれも2005年)) 連続座談会、不動産法セミナーの第7・8回で、事業用借地権の使い勝手について論じている。司会:鎌田薫、ゲスト:熊谷則一、藤井健、レギュラー:道垣内弘人・安永正昭・始関正光・山野目章夫・松岡久和。


  40. 「〈座談会〉 登記による公示内容とその意義(上)(下)」(不動産法セミナー第9回-第10回)ジュリスト1302号72-87頁、1303号114-137頁(いずれも2005年)) 連続座談会、不動産法セミナーの第9・10回で、不動産登記が何を公示するのかについて、総論的な問題と、各論として、抵当権の場合、不動産賃借権の場合、信託の場合を取り上げ、縦横に論じている。司会:安永正昭、ゲスト:三上徹、レギュラー:鎌田薫、寺田逸郎、始関正光、道垣内弘人、松岡久和


  41. 「石田喜久夫著『物権変動論』(一九七九年刊)」書斎の窓552号(2006年)42-43頁  有斐閣のPR誌「書斎の窓」の連続企画「有斐閣名著再見」に依頼されて書いた短い書評。石田喜久夫先生は、ほんとうに人間味あふれる良い先生で、とっても好きでした。民法学の歩みの研究会の機会を中心に、可愛がっていただいた。この本は、私の研究者としての出発点にあったものの一つである。この書評は、本書の魅力として、若い頃の丹念な学説史研究が示唆に富むこと、論争の上手さ、明快な姿勢、個性豊かな読ませる石田節などを挙げる。


  42. 「〈座談会〉 分譲マンションをめぐる諸問題(上)(下)」(不動産法セミナー第13回-第14回)ジュリスト1309号80-103頁、1310号96-109頁(いずれも2006年)) 連続座談会、不動産法セミナーの第13・14回で、マンション3法の改正とその後の運用上の問題点につき、実務経験と理論的考察の両面から、縦横に論じている。この回は、私が構成案を担当した。司会:鎌田薫(司会)、ゲスト:戎正晴、新納清栄、レギュラー:寺田逸郎、始関正光、道垣内弘人、安永正昭、松岡久和


  43. 「〈座談会〉 震災復興と民事法制(上)(下)」(不動産法セミナー第15-17回)ジュリスト1314号116-128頁、1315号114-135頁、1316号148-165頁(いずれも2006年)) 連続座談会・不動産法セミナーの第15-17回。罹災都市借地借家臨時処理法の問題点を中心に、表題の問題を縦横に取り上げて論じている。司会:安永正昭、ゲスト:戎正晴、小栁春一郎、レギュラー:鎌田薫、寺田逸郎、始関正光、道垣内弘人、安永正昭(司会)、山野目章夫、松岡久和。


  44. 「取得時効と背信的悪意者」法学教室318号別冊付録・判例セレクト2006(2007年)21頁 土地の取得時効完成後に登記名義人から土地を取得した第三者が背信的悪意者とされるためには、少なくとも多年にわたる占有継続の事実の認識が必要であるとした最判平成18年1月17日の解説。判例法理の組み合わせから当然考えられる帰結であるが、未登記通行地役権が善意・有過失者にも対抗できるとした平成10年判例に言及していない点を問題とする。


  45. 「不動産とは何か(1)-(5) 不動産法セミナー第21-25回」ジュリスト1331号126-145頁、1333号86-101頁、1334号196-208頁、1136号、1137号62-86頁(いずれも2007年) 連続座談会・不動産法セミナーの第21-25回。ゲストに金井克行、國吉正和、横山亘の各氏を迎え、登記による表示との関係での建物概念、建物をめぐる諸問題、海中の土地・海没土地・人工地盤など土地をめぐる諸問題を5回にわたり縦横に取り上げて論じている。このテーマで5回連載になるほど議論が盛り上がるとは、始める前には想像もしていなかった。鎌田薫、寺田逸郎、松岡久和、始関正光、道垣内弘人、安永正昭(司会)、山野目章夫(以上、レギュラー)、金井克行、國吉正和、横山亘(以上、ゲスト)。


  46. 「中国物権法成立の経緯と意義」ジュリスト1336号(2007年)38-48頁 中国物権法の成立の経緯・概要・特徴と意義を概説する。原稿は、松岡の大学院スクーリングにおけるメモを討論をふまえて鄭芙蓉が起案し、松岡・鄭の共同討議を経て、最終的に松岡が修文した。


  47. 「中華人民共和国物権法全条文」ジュリスト1336号(2007年)49-69頁 2007年3月16日に成立した中華人民共和国物権法の全条文を、日本語に翻訳し、条文見出しを加えた。松岡・鄭の共同作業を基本とするが、大学院法政理論専攻の講義民法第2部の受講者には、3回にわたって協力をしていただいた。日本語の条文としての体裁をしっかりしたものにするために、短い時間でかなり苦労をした。


  48. 「判例分析民法 探す 読む 使う 第28回-第30回 まとめと補足(上)-(下)」法学教室323号109-115頁、324号71-79頁、325号136-146頁(いずれも2007年) (上)では、2年余りにわたった共同での連載企画を終わるに当たり、これまでの連載を振り返って、「探す」「読む」に関して補足や問題点の指摘を行った。(中)(下)では、背信的悪意者排除論をめぐる下級審裁判例の分析を取り上げ、最高裁判例の分析だけでは理解できない隠れた実相を、大量の裁判例の分析からあぶり出そうとした自作論文を今の視点から振り返ってみる。


  49. 「不動産賃料債権の帰属(1)-(3) 不動産法セミナー第26-28回」ジュリスト1345号52-65頁、1346号58-69頁、1347号36-46頁(いずれも2007年) 連続座談会不動産法セミナーの第26-28回。不動産の賃料債権の帰属と不動産本体の所有権の帰属の関係がどのように規律されるかをめぐり、多様な問題状況を横断的に考察する。鎌田薫(司会)、道垣内弘人、安永正昭、始関正光、松岡久和、山野目章夫(以上レギュラー)、片岡義広、山本克己、渡辺昭典(ゲスト)。


  50. 「農地制度の展望と不動産法制(1)-(3) 不動産法セミナー第29-31回」ジュリスト1358号96-114頁、1359号100-114頁、1360号98-117頁(いずれも2008年) 農地法上の権利移動・転用規制と取引及び登記、自作農主義と農地賃貸借存続保護の評価、後継者問題など農地制度の今後の方向性などにつき、縦横に議論する。鎌田薫、寺田逸郎、松岡久和、始関正光、道垣内弘人、安永正昭(司会)、山野目章夫(以上、レギュラー)、小宮山秀史、原田純孝(ゲスト)


  51. 「物権変動法制のあり方」ジュリスト1362号39-55頁(2008年) 2008年度私法学会シンポジウム「日本民法財産法編の改正」のための報告資料となる論文で、立法論として効力要件主義に変更するか対抗要件主義を維持するか、対抗要件主義を維持する場合、判例・学説状況を踏まえて条文をどう改正するかを中心に、民法改正研究会における種々の議論を整理して報告し、最終的な立法提案(正案・副案)を提言する。シンポジウム当日の報告は、これの短縮版。


  52. 星野英一・梁慧星(監修)、田中信行・渠涛(編集)『中国物権法を考える』(商事法務、2008年) 中日民商法研究会第6回大会と第20回東京大学社会科学研究所シンポジウムを兼ねた2007年8月31日・9月1日開催の「中国物権法を考える」シンポジウムの記録。張広興「占有と物権的保護 ── 中国物権法における占有制度と物権的保護」の報告を受けたコメントを担当(221-227頁)。
     その他の著者は梁慧星、孫憲忠、渠涛、陳華彬、陳甦、鄒海林、張広興、星野英一、加藤雅信、大村敦志、原田純孝、近江幸治、北川善太郎、田中信行、渠涛・但見亮・胡光輝・長友昭(訳)。


  53. 「不動産法の現状と課題 ―― 不動産法セミナーの総括と展望」ジュリスト1371号70-89頁(2009年) 不動産法セミナーの第34回・最終回で、4年間続いた連続座談会の締めくくりとしてレギュラーメンバーが、不動産法の抱える現状と課題を披瀝する。私は企画担当幹事の1人として、民法177条に関する判例の評価と不動産物権変動に係る法制度改正の立法論について問題提起し、メンバーの意見を尋ねた。鎌田薫(司会)、寺田逸郎、松岡久和、始関正光、道垣内弘人、安永正昭、山野目章夫。


  54. 加藤雅信ほか「日本民法典財産法編の改正」私法(有斐閣、2009年)3-59頁、350-349頁 多数の共著、日本私法学会シンポジウムの討論記録で報告者として参加。英文概要付。


  55. 「遺産分割と登記」星野英一・平井宜雄編『民法判例百選Ⅰ総則・物権〔第4版〕』(有斐閣、1996年)116-117頁、星野英一・平井宜雄・能見善久編『民法判例百選Ⅰ総則・物権〔第5版〕』(2001年)118-119頁、新法対応補正版(2005年)、中田裕康、潮見佳男、道垣内弘人編『民法判例百選Ⅰ〔第6版〕』(2009年)112-113頁 最判昭和46年1月26日の判例解説。右の判決を中心として表題の問題に関する判例・学説を整理・検討する。すなわち、判例・通説は、遺産分割の遡及効の位置づけと利益衡量に基づき登記必要説を採るが、悪意の第三者の扱いなどを理由に登記不要説に立ったうえで九四条二項類推適用を主張する見解も有力である。問題は、177条の一般理論自体をめぐる公示と公信の両原則の関係の整序の形で問い直される必要がある、と指摘する。


  56. 「共同相続と登記」星野英一・平井宜雄編『民法判例百選Ⅰ総則・物権〔第4版〕』(有斐閣、1996年)118-119頁、星野英一・平井宜雄・能見善久編『民法判例百選Ⅰ総則・物権〔第5版〕』(2001年)120-121頁、新法対応補正版(2005年)。中田裕康、潮見佳男、道垣内弘人編『民法判例百選Ⅰ〔第6版〕』(2009年)110-112頁 最判昭和38年2月22日の判例解説。右判決を中心として表題の問題に関する判例・学説の状況を整理・検討する。すなわち、理論構成上も利益衡量上も登記不要説が優位に立ち、第三者保護法理の模索に向かっている。しかし、個別・具体的処理だけでは、177条の一般理論との整合性の問題が未解決の課題として問題となる、と指摘する。


  57. 民法改正研究会(代表 加藤雅信)『民法改正と世界の民法典』(信山社、2009年) 多数の共著、民法改正研究会の研究成果の集大成。上記51の論文を収録。研究会には、加藤代表と事務局の皆さんに次いで多数回参加しており、条文改正案にはかなりの程度寄与したと自負している。


  58. 「民法177条の第三者の範囲」千葉恵美子、潮見佳男、片山直也編『Law Practice 民法Ⅰ [総則・物権編]』(商事法務、2009年)167-171頁 事例を提示して、基本テーマについての問題を考えさせる演習書(全289頁)の第30問とその解説。


  59. 「取得時効完成後の譲受人と背信的悪意者」奥田昌道、安永正昭、池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権〔補訂版〕 追補判例集(~平成21年)』(悠々社、2010年)18-19頁 29の別冊補訂版。取得時効完成後の第三者との関係について背信的悪意者概念を維持しつつ拡張した最高裁平成18年1月17日判決の趣旨を批判的に考察する。


  60. 「177条における第三者(2) ― 背信的悪意者」松本恒雄、潮見佳男編『判例プラクティス 民法Ⅰ 総則・物権』(信山社、2010年)231頁 信的悪意者排除を初めて肯定した最判昭43年8月2日の判例としての意義を解説する。


  61. 「177条における第三者(3) ― 背信的悪意者でない悪意の第三者」松本恒雄、潮見佳男編『判例プラクティス 民法Ⅰ 総則・物権』(信山社、2010年)232頁 背信的悪意者排除法理を確立したものの具体的には背信的悪意者性を否定した最判昭40年12月21日の判例としての意義を近時の関連判例や学説の動きの中で位置づけ、背信的悪意者排除論になお展開の余地があることを指摘する。


  62. 「マンション管理と非居住者」ジュリスト1402号(2010年)5-14頁 道垣内弘人による特集企画「居住状態の変化とマンションをめぐる法的課題」に寄せたⅠ編で非居住者に協力金を課する規約変更を有効とした最判平22年1月26日の事件を素材に問題の所在を明らかにする。


  63. 鎌田薫、寺田逸郎(編)『新基本法コンメンタール 不動産登記法』(日本評論社、2010年)  全36人の分担執筆による不動産登記法のコンメンタールで、5条の登記がないことを主張することができない第三者について解説(27-30頁)。総頁数541頁。


  64. 「物権法講義1~18」法学セミナー670号~688号(2010年~2012年)  長年の依頼についに応えて、担保物権法を含む物権法講義を全30回の予定で開始しました。特色を出そうとしていますが、毎号7頁前後でまとめるのに四苦八苦している。狭義の物権法部分は法学セミナー688号で中間的なまとめで終わり。この回は、問題演習と読者の感想や意見に答える異色の企画となった。


  65. 「民法177条の第三者の範囲」千葉恵美子、潮見佳男、片山直也編『Law Practice 民法Ⅰ [総則・物権編][第2版]』(商事法務、2014年)212-218頁 事例を提示して、基本テーマについての問題を考えさせる演習書第2版(全359頁)の第36問とその解説。初版の解説に具体的設例のヒントを1頁加え、表現も多数修正した。


  66. 「民法177条の第三者の客観的基準 大審院明治41年12月15日連合部判決」奥田昌道=安永正昭=池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権〔第2版〕』(悠々社、2014年)137-138頁 初版の改訂で細かい修正を施す。副題の判例を中心に、民法177条の「第三者」の制限の可否、制限する基準に関する判例・学説の態様を整理し、第三者の主観的態様などの問題との関連性にも触れる。


  67. 「賃借人たる地位の対抗 最高裁昭和49年3月19日判決」奥田昌道=安永正昭=池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権〔第2版〕』(悠々社、2014年)139-140頁 初版の改訂で細かい修正を施す。副題の判決を中心に、賃貸中の不動産の所有権を取得した者は、地代や家賃を請求するのに登記を要するか否かの問題につき、判例・学説の対立状況を整理したもの。


  68. 「背信的悪意者の排除 最高裁昭和43年8月2日判決」奥田昌道=安永正昭=池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権〔第2版〕』(悠々社、2014年)141-142頁 初版の改訂で細かい修正を施す。副題の判決を中心に、民法177条の第三者の主観的態様につき判例・通説の展開する背信的悪意者排除論の生成過程と概要、それに対する種々の批判理論、残された課題について整理するもの。


  69. 「取得時効完成後の譲受人と背信的悪意者 最高裁平成18年1月17日判決」奥田昌道=安永正昭=池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権〔第2版〕』(悠々社、2014年)144-145頁 初版追補版の改訂で細かい修正を施す。取得時効完成後の第三者との関係について背信的悪意者概念を維持しつつ拡張した最高裁平成18年1月17日判決の趣旨を批判的に考察する。


  70. 「背信的悪意者からの転得者 最高裁平成8年10月29日判決」奥田昌道=安永正昭=池田真朗編『判例講義 民法Ⅰ 総則・物権〔第2版〕』(悠々社、2014年)146頁 初版の改訂で細かい修正を施す。副題の判決を中心に、背信的悪意者からの転得者の保護をどのような形で図るかにつき展開された判例・学説の議論を簡潔に整理するもの。


  71. 「遺産共有と通常の共有が併存する共有物の分割方法等 最高裁平成25年11月29日判決」私法判例リマークス50号(2015<下>)(日本評論社、2015年)66-69頁 NEW! 通常共有と遺産共有が交錯する共有物についての分割方法として共有物分割訴訟による全面的価格賠償を採ることを認め、当然分割となる賠償金の保管義務を受領者に課す本件判決を批判的に検討・解説する。


  72. 松岡久和、山野目章夫(編著)『新・判例ハンドブック 【物権法】(日本評論社、2015年) NEW! 物権法の重要判例を1件1頁にまとめた教材。②「譲渡後の建物名義人の建物収去土地明渡し義務 ── 最3小判平成6年2月8日民集48巻2号373頁」(同書17頁)を見本原稿として執筆し、山野目と共同して、取り上げる判例の選別、執筆者の選定、134件全部の原稿の点検・修正指示などの編集作業を行った。全156頁。



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3.金融・担保関係

  1. 「保証の成立とその効力」『担保法大系』第5巻(金融財政事情研究会、1984年)2-37頁 保証債務の成立と効力を概説。金銭債務を中心として保証制度の純化を図るべきだとし、工事完成保証などの保証を履行保証概念という新しい範疇に入れるべきこと、通説が保証債務の性質について説く「主たる債務と保証債務の内容の同一性」が不要なことなど、いくつかの提言を行っている。


  2. 「債権質の対抗要件たる第三債務者の承諾と質権者の特定」民商法雑誌90巻2号(1984年)123-134頁 最高裁判所昭和58年6月30日判決の批評。質権者を特定しない事前の承諾は、債権譲渡の対抗要件である「承諾」とは考えられないとして、判決の論理の弱点を指摘する。


  3. 「被担保債権弁済期後の目的不動産の譲渡と受戻しの許否」民商法雑誌111巻6号(1995年)73-86頁 「譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保を設定した債務者は、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否とにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない」とした最判平6年2月22日の判例批評。処分清算型が必ずしも不合理とは言えないことを指摘して最高裁の基本的姿勢を肯定的に受けとめつつ、清算関係の確保のために、設定者の留置権が認められることを前提としなければならないと主張する。


  4. 「抵当権の賃料債権に対する物上代位 Ⅰ 実体法上の諸問題、Ⅳ 資料」金融法研究・資料編(13)(1997年)96-109頁、117-165頁 10月の金融法学会シンポジウム報告の資料として書いたもので、Ⅰは、最近裁判例を賑わしている、転貸料債権への物上代位の可否、将来の賃料債権についての物上代位と債権譲渡の優劣関係という二つの問題を中心にこれまでの判例・学説の議論を整理・分析する。さらに、そもそもどのような場合にどの程度賃料債権への物上代位が認められるか、という点をも、右の二つの問題の前提として検討する。いずれも、金融法学会当日の報告の前段階としての整理の意味に限定されており、学会当日での報告に対する質疑(これは報告共々下記7に採録)をふまえた最終的な著者の見解は、下記6論文で論じている。ⅣはⅠ-Ⅲの報告で共通して使用する判例・裁判例を資料として採録したものである。


  5. 「物上代位権の成否と限界(1)-(3)」:「(1) 賃料債権に対する抵当権の物上代位」金融法務事情1504号6-17頁、「(2) 転貸料債権に対する抵当権の物上代位の可否」1505号13-20頁、「(3) 包括的債権譲渡と抵当権の物上代位の優劣」1506号13-26頁(いずれも1998年) (1) は、(2) (3) の検討の前提として、そもそも抵当権賃料に基づく賃料債権への物上代位が認められるか否かを検討し、不動産の価値把握のあり方として一定の合理性を認めて、無条件肯定説を支持する。(2) は、転貸料債権に対する抵当権の物上代位は、賃借人が抵当権の負担を承継しないことから原則的に否定すべきであるが、賃借権の設定が抵当権に基づく物上代位等を妨害したりこれを回避する目的でなされた場合には、抵当権設定の時期との前後関係を問わず例外的にこれを肯定することができる、と主張する。(3) では、物上代位権が及びうる賃料債権が、物上代位に基づく差押えがなされる前に包括的に譲渡された場合、すでに発生している債権については、設定者の経済活動の自由を考慮して抵当権の拘束力から免れ、債権譲渡が優先する。これに対して、未発生の債権については、抵当権の登記による限定的な公示力・対抗力を認めて、物上代位権が優先すべきである、と主張する。


  6. 「シンポジウム・抵当権の賃料債権に対する物上代位」金融法研究(1998年)14号81-124頁 1997年度金融法学会シンポジウムの報告と討論の記録。金融法研究・資料編(13)(上記4)を報告資料とする報告で、討論をふまえたものは、「物上代位権の成否と限界(1)-(3)」(上記5)として発表済。共著者:福永有利、天野勝介。


  7. 「賃料債権の譲渡と物上代位の優劣(最判平成一〇年一月三〇日第二小法廷判決・最判平成一〇年二月一〇日第三小法廷判決の判批)」民商法雑誌120巻6号(1999年)1004-1024頁 賃料債権に対する抵当権に基づく物上代位が、その差押え前になされた将来の賃料債権の譲渡よりも優先するとする二つの最高裁判決の判例批評。具体的な事件の解決としての妥当性は是認できるが、理由付けに用いられた一般的な命題は、新たに様々な問題を生み出し、とうてい賛成しがたい。具体的には、(1) 304条1項但書の差押の意義を、ほぼ第三債務者の二重弁済の防止のみに求める点につき、従来の判例との整合性に欠けること、債権譲受人などの第三者にも保護すべき利益がありうること、賃借人が債権譲受人へ弁済した後に不当利得の問題が残るおそれがあること、不当利得関係の残存を否定しようとすると差押の意義に関する前提命題と整合しないことを指摘する。また、(2) 登記による公示力・対抗力はよいとして、物上代位権にまで追及効を認めると、債務不履行に陥る前の債務者=賃貸人の賃料債権処分の自由を否定し、その破綻を加速すること、配当要求の終期までに権利行使をしなければならないとした従来の判例と齟齬し、債権執行手続後にそれによってもたらされた権利関係を覆滅するおそれがあること、などと批判する。派生的な問題としては、動産売買先取特権に基づく判例の帰趨、転付命令後の物上代位権行使の可否、火災保険金請求権の譲渡や質入れと物上代位の優劣、物上代位権と第三債務者の相殺の優劣などに大きな影響がある、と指摘する。


  8. 「動産譲渡担保権に基づく売買代金債権への物上代位」法学教室232号(1999年)112-113頁 動産譲渡担保権に基づいて商品の転売代金債権に物上代位権の行使を認めた最判平成11年5月17日の解説。詳細な否定説を展開する上告理由を検討する形で、結果的に判決の結論を支持する。また、所有権留保の場合や集合流動財産譲渡担保の場合にも同様の考え方が妥当するだろうと予想する。さらには所有権者にも物上代位による保護を構想しうることをも指摘する。


  9. 田井義信編『物権・担保物権法(NJ叢書)』(法律文化社、1999年) 田井義信・岡本詔治・磯野英徳と共著の物権法・担保物権法の「体系書」。第Ⅱ部担保物権法の第1章 担保物権法序論(169-174頁)、第7章質権(284-300頁)、第8章非典型担保(301-335頁)、第9章法定担保物権(336-355頁)を執筆。


  10. 「抵当目的不動産の不法占有者に対する債権者代位権による明渡請求(上)-(下)」NBL681号6-13、682号36-41頁、683号37-44頁(いずれも2000年) 同判決は、抵当権の非占有担保性を理由に妨害排除請求を一切否定した平成三年判決を改めた。本稿は、これを平成八年・一〇年の民事執行法改正に実体法が追いついてきたものとして肯定的に評価する。しかし、債権者代位権の転用の拡張により抵当権者への明渡しを認めた点を疑問とし、安易な代位請求の拡大に警告を発する。


  11. 「倒産手続における物上代位」別冊NBL60号『倒産手続と民事実体法』(2000年)102-121頁 2000年の私法学会シンポジウムの資料としての論文集に寄稿したもの。動産売買先取特権に基づく転売代金債権への物上代位と抵当権に基づく賃料債権への物上代位の場合を取り上げ、破産・会社更生・民事再生の手続において、物上代位がどのような処遇を受けているかを整理する。それを踏まえて、あるべき倒産手続においては、前者では、実行手続や保全手続の整備、各倒産手続の特性に沿った明確な規律の設定を、後者では、付加的物上代位の類型的特性を反映した強制管理制度の導入を提案する。


  12. 「賃料債権に対する抵当権の物上代位と賃借人の相殺の優劣」金融法務事情1594号60-68頁、1595号33-45頁、1596号66-69頁(いずれも2000年) 表題のテーマにつき、まず、錯綜した議論を理論的に整理・分析する。そのうえで、結論として、①物上代位と相殺の優劣一般については、原則として、賃貸借契約と自働債権取得の双方が揃った時と抵当権設定登記の先後で決する。ただし、この基準で物上代位が優先する場合にも、差押え前の相殺は民法三〇四条一項但書で有効となる。②敷金・保証金返還請求権については、差引計算や①の例外としての相殺優先処理を認めるべきである、と主張する。


  13. 「理論的にも結論的にも支持できるが射程が問題」金融法務事情1607号(2001年)8-9頁 賃料債権に対する抵当権者の物上代位と賃借人の相殺の優劣につき、抵当権設定登記を基準とした最三小判平成13年3月13日についてのコメント。上記12の要約的な主張。


  14. 「転貸料債権に対する抵当権の物上代位」(略称。本文の正式タイトルは「抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について抵当権者が物上代位権を行使することの可否」)民商法雑誌124巻2号(2001年)226-258頁 抵当権者の転貸料債権に対する物上代位を原則的に否定した最二小決平成12年4月14日の判例批評。まず、これまでの裁判例・学説を概観して議論を整理し、原則否定説を採った最高裁の判断を妥当だと評価する。次いで、本決定が例外的許容の要件とする「賃借人が所有者と同視できること」は限定的なものではなく、債権回収型賃貸借では、抵当権設定登記に遅れることだけで、執行妨害的手段がとられなくても転貸料への物上代位を認めてよいとする。


  15. 「書評・中田裕康・道垣内弘人編『金融取引と民法理論』」ジュリスト1204号(2001年)25頁 短いながら内容の濃い共同研究に基づく論文集の7本の論文を要約しコメントを付し、さらに全体を高く評価する。ここだけの話だが、ひねくれ辛口の「裏版」も本当は書きたいところである。


  16. 「抵当権に基づく不法占拠者に対する明渡請求」星野英一・平井宜雄・能見善久編『民法判例百選Ⅰ総則・物権〔第5版〕』(有斐閣、2001年)178-179頁、新法対応補正版(2005年) 最大判平成11年11月24日の判例解説。10および法学会講演会の論述のうち、私見部分を除いて客観的に要点を解説したもの。末尾の参考文献は、おそらく本判決に関する評釈等を完全に網羅していると思うが、全部挙げて欲しいという編集方針に従うため、スペースを確保するのに難儀した。この中には、読む必要がないと思われるものも含まれるのですよ。


  17. 「いま、担保法に何が起こっているのか(1)-(6)」銀行法務21・597号-603号(2001年-2002年) 法制審議会担保・執行法制部会の議論状況を紹介し、あわせて実体法上の問題点について若干の私見を述べるもの。第一回は「議論の経緯と実体法上の検討課題一覧」。顔写真はデジカメで撮影したもので寝癖が直らず苦労しました(^_^;)。第二回は「手続法上の検討課題一覧」、第三回は「抵当権の総則にかかわる問題点」、第四回は「滌除と代替的新制度」、第五回は「短期賃貸借」、第六回は「法定地上権・一括競売権・留置権・先取特権など」。連載開始時には、毎回2-3頁でお願いしますと言われていたので、中を省略して、詳しいことは自分の論文に譲るということで切り抜けてきましたが、第四回は7頁、第五回・第六回はほぼ一〇頁と非常に長くなってしまいました。現実の部会の議論状況に対して有しているある種の危機感や自分の使命感から、単なる報告だけでは終わりたくなくて私見部分がかなり詳しくなってくるからです。毎回快く載せていただいている編集部には心より感謝します。


  18. 「抵当権の本質論について ── 賃料債権への物上代位を中心に」高木多喜男先生古稀記念『現代民法学の理論と実務の交錯』(成文堂、2001年)3-36頁 最近の判例の展開と抵当権に基づく管理制度の導入が検討爼上にのぼっている担保・執行法制の改革問題を念頭に置いて、抵当権の価値権性・非占有担保性という本質を、賃料債権に対する物上代位や抵当権に基づく妨害排除請求を肯定的に考えるうえで、どのように理解すべきかを論じる。賃料債権への物上代位は、天然果実への抵当権の効力拡張と共に、収益に対する執行である。抵当権の実行段階に入れば、抵当権設定時に潜在的に確保され登記によって対抗力をもっていた目的不動産の交換価値に対する支配が現実化する。実行開始時以降売却の完了に至るまでの間に発生した使用・収益による利益は、実行開始時の目的不動産の交換価値の派生物として抵当権の支配に具体的に服する。このことを認めても、実行以前の設定者の占有・使用の自由を確保する抵当権の非占有担保性には矛盾しない、などとする。


  19. 福永有利ほか「近未来の抵当権とその実行手続」銀行法務21・600号(2002年)6-43頁 法制審議会担保・執行法制部会で議論されている担保法・執行法の改正問題のうち、抵当権の処遇に焦点を当てて、どのような立法論が考えられるかを論じた長時間の特別座談会の記録。出席者:福永有利(司会)・生熊長幸・松岡久和・道垣内弘人・山本和彦・高田裕成。構成は私が素案を出した。年末の忙しいときに行った座談会だが、わりあいきっちりした事前の準備メモを各自が用意したことと、年末年始の突貫作業をしていただいた銀行法務21の編集部の力量によって、大部ながらまとまりがよい座談会になったのではないかなと思う。


  20. 「不動産留置権に関する立法論」NBL730号(2002年)20-26頁 倒産実体法改正問題研究会(福永有利代表)での研究報告をまとめたもので、建築工事請負人の主張する民事・商事の不動産留置権と敷地を担保に融資した者の抵当権の優劣関係に焦点を置き、解釈論では対応に限界があることを指摘した後、立法論として、不動産商事留置権の否定、建築工事請負人の担保手段の強化、倒産法制における民事留置権の効力存続、引受主義から消除主義への転換、留置権の担保物権としての純化、価値増加部分に限定した民事不動産留置権の優先などの改革を提案する。詳細な論証と文献を省略した簡略版で、民事訴訟法学会資料用の別冊NBLに詳細版(22)を参照。


  21. 「賃料債権に対する抵当権者の物上代位と賃借人の相殺」法学教室258号・判例セレクト2001(2002年)17頁 抵当権設定登記時を基準として、それ以前に賃借人が反対債権を取得した場合にのみ、相殺が賃料債権に対する物上代位にも対抗できるとした、最三小判平成13年3月13日の解説。二段階基準説を採用した点などを評価しつつ、事案の特性に鑑み、判決の射程を直ちに敷金・保証金返還請求権による相殺に及ぼすべきではないとする。


  22. 「留置権に関する立法論 ── 不動産留置権と抵当権の関係を中心に」別冊NBL69号(2002年)88-110頁 上記20に、文献などの詳しい注を付し、本文でも詳細な論証を行ったほか、倒産法改正における検討状況・破産における留置的効力の帰趨・留置権者の建物賃貸と不当利得責任などを付け加えた。そのため、23頁もの長大な論文になってしまった。要旨は23もしくは17の第6回でご覧いただく方が、わかりやすいかもしれません。


  23. 田井義信、岡本詔治、松岡久和、磯野英徳『新 物権・担保物権法(NJ叢書)』(2002年、〔第2版〕、2005年) 上記9の『物権・担保物権法』の改訂版。誤記訂正・表現改善・旧版以降2001年末(例外的には校正時の2002年4月)までの判例学説の補充のみならず、現在進行中の担保・執行法制の改正論をも反映した内容となり、叙述が厚くなった。私は、担保物権法序論(177-183頁)、質権・非典型担保・法定担保物権(306-382頁)を担当し、事項索引(396-402頁)も大幅に見直しを行った。第2版では、2003年の担保・執行法改正、2004年の民法の現代用語化・保証法の改正、不動産登記法の改正、破産法等の改正、動産・債権譲渡特例法の制定、2005年の会社法の制定などに対応したほか、2005年6月までの判例、2005年8月までの参考文献をフォローした。担当頁は、担保物権法序論(181-187頁)、質権・非典型担保・法定担保物権(319-400頁)、事項索引(414-420頁)。


  24. 「物上代位に関する最近の判例の転換(上)(下)」みんけん543号3-13頁、544号3-16頁(いずれも2002年) 一連の最高裁判例の展開によりこれまで手厚い保護を与えられてきた抵当権に基づく賃料債権への物上代位の問題に関し、最近半年の間に3つの事件類型につき4つの注目すべき判決が出てきた。これらの判決は、いずれも物上代位にかなりの制約を課す内容を含んでいる。はたして、最高裁は物上代位に関して考え方を方向転換したのであろうか。それとも、その点では一貫していて、むしろ従来の判例に対するこれまでの一般的な理解の方が改められるべきだというのであろうか。本稿は、この点を論じる。(上)は、配当要求による物上代位権行使を否定した最一小判平成13年10月25日民集55巻6号975頁を取り上げ、この判断は理論的整合性の点で優れているが、従来の最高裁判例の一般的な理解を一変させる内容を持つにもかかわらず、そのことを明示的に論じない判旨には問題がある、と指摘する。(下)は、転付命令後に物上代位権行使を否定した最三小判平成14年3月12日民集56巻3号掲載予定・裁時1311号6頁と物上代位権の行使としての差押え後に敷金充当による未払賃料債権の消滅を肯定した最三小判平成14年3月28日民集56巻3号掲載予定・裁時1312号3頁及び同旨の最一小判平成14年4月25日未公刊を取り上げる。いずれの判決も形式的な観点からすれば従来の判例を変更するものではないが、前者は最一小判平成10年1月30日の第三債務者保護説、後者は最三小判平成13年3月13日の登記時基準説につき、いずれもその射程を実質的には大きく限定する趣旨を含む。この4判決は、強力になりすぎた物上代位にブレーキをかけるものである、と位置づける。


  25. 「賃料債権に対する抵当権者の物上代位による差押えと当該債権への敷金の充当」法学教室270号・判例セレクト2002(2003年)18頁 抵当権の物上代位に基づく賃料債権の差押えに対し、賃借人は敷金の充当による賃料債務の消滅を主張できるとした最一小判平成14年3月28日の解説。本判決の利益衡量に賛成しつつも、平成13年3月13日判決との関係、判旨の射程などに理論的にも実際的にも問題が残ると指摘する。


  26. 「シンポジウム『倒産実体法の改正』でのコメント」民事訴訟雑誌49号(2003年)144-150頁 2002年度第72回民事訴訟法学会大会のシンポジウム「倒産実体法の改正」に参加し、実体法研究者の視点から各報告に対して、コメンテーターとして行った発言の記録。


  27. 「短期賃貸借制度の改革」私法65号(2003年)155-157頁 2002年度第66回日本私法学会で初めての試みとして担当した拡大ワークショップの報告・コメントと議論の概要をまとめたもの。短い時間の中でほぼ論点を出し尽くして参加者に状況を共有してもらえたこと、短期賃貸借制度全廃に対する批判的意見がほとんどであったことが印象的であった。なお、内容を想像していただけるよう、欧文タイトルには苦労した。


  28. 「担保・執行法制の見直しに関する要綱(1)(2)」銀行実務529号8-9頁、530号8-9頁(いずれも2003年) 法制審議会が2月に答申し、3月に法務省が国会に法案を提出した担保・執行法制の改正につき、主として実体担保法に関する主要問題と、主として手続法に関する主要問題を2回に分けて、簡単に解説した。


  29. 「担保・執行法改正の概要と問題点(上)(下)」金融法務事情1687号18-27頁、1688号5-13頁(いずれも2003年) 担保・執行法の改正のうち、実体担保法に関わる部分を取りあげ、改正の概要と問題点をつぶさに検討し、さらに今回の改正で取りあげられなかった事項を整理して、積み残された課題にも触れる。


  30. 「《座談会》担保・執行法制の改正と理論上の問題点」ジュリスト1261号(2004年)32-71頁 座談会参加者は池田光宏(大阪地裁判事)・奥田昌道(同志社大・京都大名誉教授・元最高裁判事)・鎌田薫(早稲田大)・山本克己(京都大)と強力メンバーで、担保・執行法制の改正につき、理論的な面から問題となる点を詳細に議論した。主要な項目として、Ⅰ 不動産の果実に対する抵当権の効力、Ⅱ 短期賃貸借の廃止等、Ⅲ 一括競売関係、Ⅳ 民事執行関係、Ⅴ 平成11年大法廷判決等との関係。


  31. 「担保・執行法の改正」『新 物権・担保物権法』補遺1-8頁(2004年) 上記23の共著『新 物権・担保物権法』の補遺として増刷分に添付する8頁の小冊子で、「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」(平成15年法律第134号)を、教科書の記述内容に関する限度で、その順に沿って解説した。


  32. 「収益物件の適正な評価とそれに基づく対応」NBL800号(2005年)67-68頁 NBL800号記念特別企画「明日の企業法務を考える」の「10 新制度への期待と今後の課題」に寄せたコメント。800号記念なので800人に800字のコメントをもらうという企画だという。800人は無理な話であったが、集まったコメント集は、今後の動向を占う上で面白い。


  33. 「動産売買先取特権に基づく物上代位の差押えと相殺の優劣」金融・商事判例1215号(2005年)1頁 表題の問題につき、物上代位による差押えと反対債権の成立時の前後を基準とする大阪地判平成17年1月27日を紹介し、成り立ちうる3つの見解のうち最も妥当であると評価しつつ、受働債権が期限未到来の場合にどうなるかなどの問題を指摘する。なお、右段落、18行目の「-に依拠するYの主」の「Y」は「X」の誤記で、恥ずかしい限りです。物上代位権者Xが、Yは差押え前に相殺の意思表示をしていないから、物上代位に劣後するはずだ、と主張したのです。


  34. 「象徴的意義にとどまり検討すべき課題が多い」金融法務事情1742号(2005年)13-14頁 所有者から占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者に対して抵当権に基づく妨害排除請求をすることができるとした最判平成17年3月10日に対するコメント。抵当権に基づく妨害排除請求を具体的事案で肯定した点や抵当権者の占有の意義を明らかにした点を評価しつつも、その要件が主観的目的性を含むなどの問題を指摘し、保全処分が強化された現在では実践的意義は大きくないとする。


  35. 「物上代位」鎌田薫ほか編『民事法Ⅱ』(日本評論社、2005年)63-73頁 法科大学院の教材を念頭においた解説。賃料債権に対する抵当権の物上代位について、その根拠、賃料債権の譲渡との優劣、転貸料債権に対する物上代位権の成否、賃借人の相殺の主張との優劣を、判例・学説を整理・検討する。


  36. 「抵当権に基づく妨害排除請求」平成17年度重要判例解説(ジュリスト1313号、2006年)77-79頁 最一小判平成17年3月10日民集59巻2号356頁の解説。抵当権自体に基づいて占有権原のある占有者に対しても妨害排除ができるための要件と抵当権者自身への明渡しを求めるための要件等を明らかにした判決の意義を確認する一方、抵当権設定者の執行妨害目的という主観的要件を付加する必要性について疑問を提起し、妨害排除訴訟より保全処分の効率性・合理性に期待すべきだと指摘する。


  37. 『民法総合 事例演習』(有斐閣、2006年) 法科大学院(大学院法学研究科法曹養成専攻)の基幹科目(必修)として設置されている民法総合1-3の教材として使用する長文の事例問題集。潮見佳男教授及び山本敬三教授との共著。2-3年間の実地使用の経験を踏まえて講義で使用した問題を差し替え・修正・整理し、設問・チェックポイント・参考文献などの体裁も統一した。また、本書にまとめるにあたって、講義マニュアルを各1問採録した。
     私の担当は、債権の保全・回収・担保をテーマとする民法総合3で、おおむね債権総論と担保物権の分野から出題しているので、ここに分類した。


  38. 「平成15年担保法・執行法改正の検証(1)-(3) 不動産法セミナー第18-20回」ジュリスト1321号144-175頁、1324号88-118頁、1327号56-90頁(いずれも2006年) 連続座談会・不動産法セミナーの第18-20回。ゲストに古賀政治弁護士、谷口園恵裁判官(立法当時の担当参事官)、松下淳一教授を迎え、表題の問題を縦横に取り上げて論じている。


  39. 「日本における非典型担保法の最近の動向」民事法学39-2号(韓国民事法学会、2007年)369-401頁 平成19年12月1日の韓国民事法学会での報告原稿で、不動産中心の担保が経済動向を背景に集合財産譲渡担保にシフトしていること、および、それを支える法制度の充実と判例の展開が急であるが、実体法に関する立法的整理が必要な段階にあると指摘する。同紙402-403頁に日本語概要、404-405頁に英文概要 'Developments in the Law of Non-Code Security Interests in Japan, 1978-2007、411-444頁に韓国語版(尹泰永訳)もあわせて掲載。


  40. 「森田修著『債権回収法講義』(民法学のあゆみ)」法律時報80巻8号(2008年)105-109頁  民法学のあゆみ研究会の報告に基づく書評で、森田の斬新な主張を「コペルニクス的転回」ないし「コロンブスの卵」として画期的な研究書と評価する一方、講義形式の制約による論述の不足が残念だと指摘する。


  41. 大阪市立大学証券研究センター「第24回瀬川基金記念シンポジウム 『担保法、動産・債権譲渡法整備の検証とこれからの課題』」(2009年) 全41頁中3-12頁に講演記録、21-24頁、26-29頁に討論での発言、30-33頁に配布したレジュメを収録(シンポジウムを記録した報告書)。


  42. 「譲渡担保立法の方向性」法学論叢164巻1-6号(京都大学法学会、2009年)71-104頁 41をベースにして日本国内向けに一部を書き直した論文。


  43. 「抵当権:抵当権の消滅」千葉恵美子、潮見佳男、片山直也編『Law Practice 民法Ⅰ [総則・物権編]』(商事法務、2009年)254-259頁  事例を提示して、基本テーマについての問題を考えさせる演習書(全289頁)の第46問とその解説。


  44. 岡孝、松岡久和、和田勝行「譲渡担保関連文献目録(上)」学習院大学法学会雑誌45巻2号(2010年)45-98頁  全銀協研究助成プログラムによる譲渡担保関連の文献と判例の総合目録の前半の文献目録。全体企画・解題・データ構造仕様決定を主として担当した。


  45. 岡孝、松岡久和、和田勝行「譲渡担保関連文献目録(下)」学習院大学法学会雑誌46巻2号(2010年)45-98頁 全銀協研究助成プログラムによる譲渡担保関連の文献と判例の総合目録の後半の判例および判例評釈目録。全体企画・解題・データ構造仕様決定を主として担当した。


  46. 「担保不動産収益執行における賃借人からの相殺の可否」現代民事判例研究会編『民事判例Ⅰ 2010年前期』(日本評論社、2010年)168-171頁 現代民事判例研究会で報告した最二小判平成21年7月3日の判決の評釈で、これまで不明確な点が多かった不動産収益執行につき賃料債権に対する物上代位と同様の処理がされることが明らかになったことや、管理人の地位の解明に第一歩となる判示をした点を好意的に評価すると共に、考えられる問題点への波及を予測した。


  47. Herald Baum, Moriz Bälz(Hrsg.), Handbuch Japanisches Handels- und Wirtschaftsrecht (Carl Heymanns, 2011) ドイツ語による日本法概説で、全1726頁中、第14章 物的担保 (§14 Dingliche Kreditsicherheiten ) 605-680を執筆し、Bälz氏とGabrielle Koziol さんにドイツ語訳をしていただいたものを校正した。担保物権法全般の概説である。


  48. 「加賀山茂著『現代民法 担保法』(信山社、2009年)(民法学のあゆみ)法律時報64巻6号(2012年)105-110頁 民法学のあゆみの研究会の報告に基づく原稿で、独特の発想に基づく首尾一貫した構成を壮大な思考実験としての意義や物的担保と人的担保の統合の試みとして高く評価しつつ、有体物に拘る物権構成の狭さや先取特権からの原則の一般化などを批判する。


  49. 「抵当権に基づく賃料債権への物上代位」法学教室382号(2012年)15-24頁 森田修教授の企画による特集「民法における判例法 ── 判例群からのアプローチ」の3論文の1つとして短時間で執筆したもの。表題をめぐる判例群の相互関係から、判例の読み直しによる判例の基準の変化や再構成、事案による制約制と準則の射程などの問題を指摘する。まあ、それなりには、まとまっています。


  50. 「担保裁判例の動向」現代民事判例研究会編『民事判例 Ⅵ 2012年後期』(2013年)35-38頁 New! 第6回現代民事判例研究会の担保パート報告を基にした2012年度後期の担保に関連する判例・裁判例の紹介をしたもの。


  51. 「保証人と物上保証人の地位を兼ねる者の責任」田原睦夫先生 古稀・最高裁判事退官記念論文集『現代民事法の実務と理論 上巻』(金融財政事情研究会、2014年)326-379頁  New! 保証人の物上保証人を兼ねる者が弁済による代位においてどう扱われるべきかを論じ、最判昭61・11・27民集40巻7号1205頁の頭数一人説を徹底的に批判する。そのうえで根保証・一部保証・根抵当などについて規律が欠缺している問題点を指摘し、DCFRの提案を批判的に検討して新たな基準を模索する。法制審議会民法(債権関係)部会第73回会議にpdfを参考資料として提出しているので、そちらからダウンロードが可能です。「頭数一人説」あるいは「保証人一人説」の条文化に反対すると共に、より根本的な問題があるとの問題提起を行うためです。


  52. 「物権法講義19~42」法学セミナー689号(2012年~2014年) 連続講義の物権法で、第19回から担保物権法に入りました。第19回は、担保物権法の導入として、担保の意義と種類、担保物権の概説と効力・特徴を説明し、参考文献一覧を示し、若干のコメントを付け加えました。昨年も今年も4月は年度初めの超多忙がたたり、1回ずつ連載のお休みを頂戴しましたが、7月号でついに連載完結となりました。早いうちにまとめて物権法と担保物権法の本にできれば良いと思います。


  53. 「第8部 座談会」田原睦夫『実務から見た担保法の諸問題』(弘文堂、2014年)367-427頁 田原睦夫先生の担保法関連の精選論文集の出版を記念して、抵当権に基づく物上代位、転抵当と被担保債権の質入れとの競合、根担保、集合動産譲渡担保の実行の4つのテーマにつき学舎と弁護士と銀行実務家が意見を交わす座談会を収録。中井康之(司会)、田原睦夫、安永正昭、松岡久和、三上徹。このほか論文集整理や座談会の事前・事後の打合せには、はばたき綜合法律事務所の福井俊一弁護士にたいへんにご尽力をいただきました。福井弁護士はうちのゼミのOBで、非常に頼りになり、ご活躍が誇らしいです。


  54. 「抵当権の消滅」千葉恵美子、潮見佳男、片山直也編『Law Practice 民法Ⅰ [総則・物権編][第2版]』(商事法務、2014年)315-320頁 事例を提示して、基本テーマについての問題を考えさせる演習書第2版(全359頁)の第54問とその解説。初版の解説の表現を微修正したにとどまるが、初版の表題の「抵当権:」部分は重複感があるので削除された。


  55. 「不動産所有権の取得時効完成後に設定された抵当権と再度の取得時効の完成」潮見佳男=道垣内弘人編『民法判例百選Ⅰ総則・物権[第7版]』(有斐閣、2015年)188-189頁 NEW! 百選第7版で新たに担当した最二小判平成24年3月16日の判例解説。長期取得時効による問題解決と法的観点指摘義務の関連にも言及する点が先行評釈類に加えた点。字数内にまとめるのに苦労した。


  56. 「日本民法改正案における無効な法律行為の清算規定の意義と課題」韓国全南大学校法学論叢36巻1号(別冊、2016年)107-153頁 NEW! 長年の友人である鄭鍾休教授の退職記念号に寄稿したもので、民法改正案121条の2が新設されたことの意義と残る課題を、法制審議会民法(債権関係)部会および同第1分科会での議論を丹念に整理することで明らかにする。提案は、双務契約の解除の効果の原状回復義務の規律として、不当利得の特則を定めた点で、一般不当利得法に委ねる場合の不合理を解消する長所を有する。他方で、価額償還義務や果実の返還義務など、議論された多くの点が改正提案には盛り込まれず、新規定は国民にわかりやすい規定ではない。それどころか、詐欺・強迫や消費者取引における被害者にも広く原状回復義務を負わせるかのように読めるという欠点もある。最後の問題点は消費者契約法の改正で対応する規定が提案されているが、議論の経緯からみるとこれを例外規定を解することなく、解釈論によって適切な運用を行う必要が高い。

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4. 物権・債権対置の体系批判


  1. 「債権的価値帰属権についての予備的考察」龍谷大学社会科学研究年報16号(1986年)68-94頁 金銭債権として債権者平等の原則に服するとされるものの中に、他の債権者に優先して弁済を得るべきものがないか。金銭債権の騙取を例にとり、「債権の上の所有権」論や物権的価値返還請求権説、債権的私的所有論を検討し、物権・債権の峻別論を超える債権的価値帰属権概念の可能性を探る。きわめて出来の悪い論文だが、私の偏愛の対象だし、今後の展開を模索し続けているテーマ。


  2. 「『価値追跡』説の展開と限界」龍谷大学法学部創設二十周年記念論文集『法と民主主義の現代的課題』(有斐閣、1989年)322-353頁 従来当然のものとされてきた債権者平等の原則に対して、それを破る「価値追跡」という考え方が提唱されている。本論文は、その創始者ヴィルブルクの説と彼の考え方を発展させたベールの説の継承関係を明らかにし、添附の事例を中心にヴェスターマンらの物権的価値返還請求権説と対比しながら、「価値追跡」説の特徴と限界を論じる。


  3. 「ベールの『価値追跡』について」龍谷法学22巻2号(1989年)1-64頁 債権者平等の原則を破る「価値追跡」という考え方を、新たに広範な比較法的研究に基礎づけたベールの著書を詳細に紹介したうえ、在来のドイツ民法学からよせられるであろう批判をも想定して、その特徴と特異性を分析したもの。


  4. 「アメリカ法における追及の法理と特定性 ── 違法な金銭混和事例を中心に ──」法形式と法実質の調整に関する総合研究(1) 報告書(財団法人 トラスト60、1998年)93-127頁、一部修正補訂のうえ、林良平献呈論文集『現代における物権法と債権法の交錯』(有斐閣、1998年)357-394頁に転載 意思に基づかずに金銭を失った者が単純な金銭債権者として債権者平等の原則に服するとしてよいか、という問題意識の下に、かかる者の優先権を肯定する英米法の追及Tracing の法理のメカニズムを解明する。さらに、その要件とされる客体の特定性につき、いわゆる財産膨張理論とそれへの批判を検討する。財産権膨張理論は、伝統的追及理論から容認されえない異端ではなく、伝統的追及理論の基礎にある実質重視の考えの延長線上に位置する、と結論し、物権形式だけが優先を根拠付けるという思考を相対化しようと試みている。


  5. 森田果、松岡久和(共著)「お前のものは俺のもの ── 優先権付与の理論構造」私法(有斐閣、2009年)172-174頁2008年度第72回日本私法学会ワークショップの記録でコメンテーターとして参加。



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5.債権総論・契約

  1. 林良平編『注解判例民法 債権法Ⅰ[債権総則、契約(1)]』(青林書院、1987年) 判例を中心にしたコンメンタール(共著)。金銭債権・利息債権・選択債権などを規定する民法第402条-411条を分担し、判例の動向を中心に逐条解説したもの(22-38頁)。私が何でも屋であることを決定づけた依頼原稿。


  2. 「転用目的のない非農家との間で農地の売買契約を結んだ売主には、特約がない限り、農地法三条および五条の許可申請協力義務がない、とされた事例(京都地判63・10・26)」判例評論375号(1990年)19-23頁 表題の地裁判決の批評。農地売買契約における許可申請協力義務の法的性質を契約上の従たる給付義務としてとらえたうえ、非農家が買主となった場合には、原始的不能の問題を生じると分析し、従来の判決例の中での本判決の正当な位置づけを論じる。なぜこの判例評釈を頼まれたのか未だにわからない。


  3. 「分譲マンションにおける分譲主の駐車場専用使用権留保の法的性質」私法判例リマークス5号(1992年)65-69頁 大阪高判平3年3月28日判決を素材に、駐車場専用使用権の法的性質を考察する。まず、専用使用権留保の特約を公序良俗違反による無効ではなく、解釈による契約内容の合理的改訂として考えるべきこと、次に、法的性質論は、物権・債権の対置的理解に無理に当てはめるのではなく、具体的問題にそくして考えるべきこと、最大の問題である存続期間については、対価性との関連を重視すべきこと、を説く。これも誰かのピンチヒッターだった疑いが濃厚な原稿。


  4. 「数量不足の担保責任」龍谷法学24巻3・4号(1992年)22-54頁 数量不足の担保責任(民法565条)を素材に売主の担保責任の構造・法的性質・要件・効果に関する近時の学説の対立点を整理・検討する。ここで展開した私見は、特定物ドクマ論のもつ履行請求権の不発生という一面を評価しながら、原始的に一部履行が不能な合意を成立させたことに帰責事由がある限りで、履行利益をも含む特殊な債務不履行責任を肯定するとともに、数量指示、数量保証、損害担保特約の三者の関係を区別することを提唱する。下記5を準備中に私見を書き切れないため独立論文としたもの。


  5. 柚木馨、高木多喜男編『新版注釈民法(16)債権(5)』(有斐閣、1993年) 最も詳細な民法のコンメンタール(共著)。第565条(数量不足の担保責任)を分担執筆(220-240頁)。 当時はほとんど注目されることがなかったが、その後、平成13年に注目すべき最高裁判例が相次ぎ(後述の判例解説も参照)、日の目を見ることになった。


  6. 池田真朗、松岡久和(共著)「シムレール教授『債権譲渡から契約譲渡へ』『新たな人的担保』 ― 姫路獨協大学フランス民法セミナー報告 ― 債権法および担保法を中心として」法律時報66巻12号(1994年)94-105頁 《2010年に脱落補充》1994年3月28日、29日に姫路獨協大学で開催されたフランス民法セミナーの報告。池田教授と分担のうえ、2日目の保証論を担当(101頁~105頁)。保証人保護のリアクションとして実務界で発達した新たな人的担保(指図、請合約束、支援状、独立担保などについてのフランス法の展開を紹介し、日本の参加者とシムレール教授との質疑応答の要旨を記録した.


  7. 「求償関係における無資力危険の配分(上)-(下)」龍谷法学27巻3号1-32頁、4号67-94頁、28巻2号1-32頁(1994-5年) 求償関係において不可欠のはずの無資力危険の配分という観点が等閑視されていることを指摘し、連帯債務者の弁済前後の通知義務とその懈怠の効果(443条)を具体例にとって、無資力危険の観点が有用であることを主張する。さらに、立法過程を分析し、一貫した自覚的原理の定立には至らなかったものの、それが立法段階でも重要な位置づけを与えられていたことを論証する。


  8. 「受取人を誤記した誤振込による預金債権の成否」平成8年度重要判例解説(ジュリスト臨時増刊1113号、1997年)73-75頁 受取人を誤記した誤振込の場合にも受取人の預金債権が成立するとした最高裁平成8年4月26日の判例解説。振込制度の趣旨と被仕向銀行の保護を理由に、右判示事項については良しとするが、受取人の差押債権者の「棚ぼた」利益の取得の防止の点で第三者異議を否定した判旨を批判する。  右の問題は、預金債権の成立の否定や、錯誤論、依頼人預金債権者説、物権的価値返還請求権説のいずれを採っても、きわめて部分的にしか解決されない。一定の不当利得債権の優遇的扱いこそがあるべき問題解決の方向であるとする。


  9. 「北居功・売主瑕疵担保責任と危険負担との関係(1)-(4)(民法学のあゆみ)」法律時報70巻6号(1998年)121-124頁  北居功助教授の論文「売主瑕疵担保責任と危険負担との関係」の概要を紹介し、その積極的意義(対価危険と区別された給付危険において合意による特定と一方的行為による特定を区別する主張など)と問題点・課題(瑕疵担保責任構造論との連携など)を分析したもの。  ちなみに、どうでもよいことだが、北居さんは滋賀県立虎姫高等学校の後輩で、同じ滋賀県長浜出身、北居さんと同僚の七戸さんの奥さんのお母さんの実家も滋賀県長浜市だとわかり、世の中は狭いと実感した次第。


  10. ハイン・ケッツ『ヨーロッパ契約法Ⅰ』(法律文化社、1999年) 潮見佳男・中田邦博との共訳で、第二部を担当。同書は、『比較法概論』で有名な巨匠ケッツが、ヨーロッパ諸国の契約法準則の異同を論じ、ヨーロッパの契約法を支える法曹を教育するという視点から、法の統一を目指す枠組みを示す。ケッツの契約観は、古典的な意思自治原理とそれを支える市場メカニズムを重視し、コスト感覚を十分反映させて、契約による主体的なリスク配分を尊重するという姿勢をとる。各国法の条文・判例・学説の簡潔な要約自体が非常に有益な概観を与える。のみならず、比較比較法の申し子である日本の契約法の位置を知り、その特質と改善すべき方向性を考えるうえで、国際社会を生きる日本人にとって、研究者のみならず学生・実務家にも非常に参考になる。内容の詳細目次はこちらをどうぞ。


  11. 「ハイン・ケッツ『ヨーロッパ契約法Ⅰ』について」龍谷大学社会科学研究年報31号(2001年)91-111頁 科学研究費補助金と龍谷大学社会科学研究所の研究助成金を受けた共同研究「ヨーロッパ私法の統一とEU各国契約法の対応」の一環として、ケッツの上記10の著書を要約すると共に、その特徴と問題点を論じる。すなわち、①ヨーロッパの契約法全体を概観できる平易で簡潔な叙述、②資料としての高い価値、③コスト・効率性をキーワードとする厚生経済学的視点、判例重視の機能的比較法と教義学的手法の排斥、実践的合理性の強調など、明確な分析視覚に基づき議論を喚起する主張については、本書を高く評価する。しかし、一方で、その高い価値ゆえに留意されるべき点として、①正義論・権利論に象徴的に現れる厚生経済学的視点と法的視点のずれ、②法的構成や体系的整合性を軽視することによる解釈実践での問題点、③判例法重視のと判例の取捨選択における二重の留意点、④世界化=ヨーロッパという視点の消失などを挙げる。


  12. 潮見佳男編『消費者契約法・金融商品販売法と金融取引』(経済法令研究会、2001年) 2001年4月1日施行の消費者契約法と金融商品販売法を理論面から逐条解説する部分と実務上問題になる諸点につき金融機関がどう対応すべきかをまとめた本。私は消費者契約法第3章第8条-第10条の解説を分担執筆し、考えられる問題点を広く論じる(62頁-94頁)。


  13. ハイン・ケッツ(松岡久和訳)「大陸法と英米法における契約上の救済」民商法雑誌125巻1号(2001年)31-56頁 2001年3月6日に姫路獨協大学で行われたヨーロッパ契約法連続セミナー第二回におけるケッツ教授の講演原稿を、同教授の許諾を得て邦訳し、小見出しを付けたもの。特定履行・契約の解消・契約違反の3つの重要問題を選んで、大陸法と英米法が出発点のおおきな違いにもかかわらず、類似した紛争事例の解決では大幅に歩み寄っていることを鮮明に描き出している。そのうえで、ケッツ教授は、各国裁判所による解釈の相違や、より根元的には国民性・裁判所が扱う事件の種類などの違いから、統一法典による法統一は時期尚早であり、契約のモデルを提示するユニドロワ原則のようなソフトな形での法統一の方向が望ましいと主張している。


  14. 中田邦博、松岡久和「ケッツ教授によるヨーロッパ契約法連続セミナーでの質疑応答」民商法雑誌125巻1号(2001年)57-78頁、松岡担当分は69頁以下 表題の連続セミナーの際に、ケッツ教授の講演(第1回は中田邦博教授の翻訳にかかるもので民商法雑誌124巻6号に掲載)に続いて行われた議論を要約したもの。コメンテーターとしての松岡のコメントと質問に続いて、参加者との間の質疑応答を含む。


  15. 「クロスデフォルト条項・ネガティブプレッジ条項の民事法的検討」ジュリスト1217号(2002年)2-9頁 企業金融法研究会の共同研究「新しい企業金融の取引法的研究」の特集に寄せたもので、社債管理契約中に用いられる財務上の特約の典型的なものであるクロスデフォルト条項・ネガティブプレッジ条項の民事法上の効力を、日本国内で使われている具体例に即して検討する。結論だけを示せば、次の通り。これらの条項は基本的に有効であり、主として期限の利益喪失という効果を生じる。しかし、実際に期待されるのは、法的効果よりもむしろ、期限の利益喪失を梃子に、社債管理会社が発行会社と行う交渉に強力なカードとなるところにある。


  16. 「樋口範雄『フィデューシャリー[信認]の時代 信託と契約』(民法学の歩み)」法律時報75巻4号(2003年)91-93頁 樋口教授が信認関係を契約関係と区別して観念すべきだとされる点を中心に本書の概要を紹介する。本書のわかりやすい内容と意義深い問題提起を高く評価する一方で、民法学者の視点との違いに起因する議論のズレを指摘する。


  17. 「建物サブリース契約」法学教室273号(2003年)22-27頁 欲張りな民法入門を狙った特集「テイクオフ民法」の解説論文の1つで、バブル崩壊後の経済変動の中で、サブリースという新しい契約類型をどうみるか、というテーマを論じる。民法の原則・借地借家法によるその修正を解説した後、問題の所在と裁判例・学説の主要な議論を概観し、賃料保証条項が借地借家法の規律の対象外であると主張すると共に、それを不可欠の要素とはしない新種契約類型としてサブリース契約を位置づける可能性を示唆する。講義口調で書いてみましたがいかがでしょうか。


  18. 川角由和・中田邦博・潮見佳男・松岡久和編『ヨーロッパ私法の動向と課題』(日本評論社、2003年) 共同研究「ヨーロッパ私法の統一とEU各国契約法の対応」の成果として、既発表の論文・翻訳等に書き下ろし論文と資料を付し、龍谷大学社会科学研究所叢書54号として刊行したもの。拙稿では、「ハイン・ケッツ『ヨーロッパ契約法Ⅰ』について(上記11)」15-55頁、「大陸法と英米法における契約上の救済」(上記13)307-330頁(翻訳)、「『大陸法と英米法における契約上の救済』をめぐっての質疑応答」(上記14の松岡担当部分)33-341頁(研究会記事)を、修正・補充のうえ収録した。


  19. 「建物サブリース契約と借地借家法三二条の適用」法学論叢154巻4・5・6号(前田達明先生還暦記念号、2004年)131-206頁 この業績一覧の16の「建物サブリース契約」の詳細版として書き始め、その後、最高裁の平成一五年一〇月判決の出現を機に、後半部分を書き直した論文。建物サブリース契約の場合にサブリース業者が借地借家法三二条を根拠に賃料減額を請求できるかという問題につき、錯綜した下級審裁判例と学説を整理・検討して、賃料保証特約がある場合には同条の適用を認めるべきでない、と主張する。後半では、平成一五年一〇月の三つの最高裁判決の意義を分析・検討し、最高裁判決は単純に三二条を適用して減額を認めるものではなく、三二条の適用に際して賃料に関する約定とそれがなされた背景事情を十分考慮するべきだと判示し、賃料保証特約を軸にした適用否定説の主張を三二条の枠組みの中に取り込む可能性を切り開いたものと評価すべきである、と読む。


  20. 「最高裁サブリース判決の方向性(上)(下)」金融法務事情1722号49-62頁、1723号29-37頁(いずれも2004年) 関西金融法務懇談会での報告をまとめたもの。上記19を基礎にし、19以降の論文・判例評釈をもフォローすると共に、最高裁判決以後に出た東京地判平16・4・23(公刊物未掲載)を徹底分析し、同判決が最高裁サブリース判決を正確に理解していないと批判する。ここまで厳しい批判をしたのは、サブリース契約紛争については、最高裁判決が終着点ではなく、それを受けた今後の下級審の判断こそが重要で、今後の方向性を占う、と考えたからである。もっとも、この論文を読んでくれた元ゼミ生(現判事補)には、ここまで批判されると判決を書くのが怖いと言われてしまいました。


  21. 「銀行が受取人の銀行口座に誤振込された預金について受取人に対する貸付債権をもって相殺することは正義・公平の観念に照らして無効とされた事例」金融判例研究15号(金融法務事情1748号、2005年)11-14頁  誤振込による組戻しの通知を受けた被仕向銀行は、受取人が振込金返還を承諾している場合には、誤振込にかかる当座預金債務を、受取人に対する貸付債権によって相殺することはできないとした名古屋高判平成17年3月17日の判例批評。棚ぼた利益防止の利益衡量は正当で、結論は妥当であるが、誤振込の場合にも預金債権の成立を認めた平成8年の最高裁判決と実質的に牴触するなど、理論的には問題が多い、と指摘する。


  22. 「サブリースを語る 鼎談 民法学の新潮流と民事実務[第10回]」判例タイムズ1202号(2006年)4-26頁 加藤雅信(当時・名古屋大学大学院法学研究科教授)・加藤新太郎(当時・新潟地方裁判所長)の両先生がホストとして、毎回異なるゲストと縦横無尽の鼎談を行う好評連載企画「民法学の新潮流と民事実務」の記念すべき第10回目に、私を呼んでいただいて、サブリース契約紛争を中心に論じたもの。加藤雅信先生の博覧強記と強烈な主張に押され気味で、加藤新太郎先生に優しく支えていただきました。家内の言ですが、「松岡法学」などという題名をみると私も年をとったんだと思います。そういうまとまった方法論的な視座を持ち合わせていないので、ほんとうに面はゆく、気恥ずかしさでいっぱいです。


  23. 「履行障害を理由とする解除と危険負担」ジュリスト1318号(2006年)138-148頁 2006年の日本私法学会第70回大会シンポジウム「契約責任論の再構築」の報告資料として書かれたもので、国際的な動向を踏まえて契約解除の要件として不履行当事者の帰責事由を要せず「重大な契約違反=債務不履行」で足りるとするとともに、それによって危険負担制度との機能分担関係が変化して、基本的に契約総則としての危険負担制度は不要に帰する、と主張する。


  24. 『ヨーロッパ契約法原則Ⅰ・Ⅱ』(法律文化社、2006年) オーレ・ランドー、ヒュー・ビール(以上、原著の編著者)によるPECL(ヨーロッパ契約法原則第1部・第2部)の翻訳。潮見佳男、中田邦博、松岡久和(以上、本翻訳書の監訳者)、高嶌英弘、野田和裕、野々村和喜、朴仁煥、馬場圭太、藤井徳展、松井和彦、吉永一行、吉政知広。全体の監訳のほか、履行に関する7:101-7:107条329-345頁と文献一覧489-520頁、索引525-577頁を担当。


  25. 「契約責任論の再構成 2006年日本私法学会第70回大会シンポジウム」私法69号(2007年)3-57頁 2006年の日本私法学会第70回大会におけるシンポジウム「契約責任論の再構成」の質疑応答を採録したもの。私の応答発言は、38-41頁。


  26. 'Cancellation due to non-performance and allocation of risk' 私法69号(2007年)314-313頁 2007年の日本私法学会第70回大会シンポジウムでの報告「履行障害を理由とする解除と危険負担」(21番)の英文要約。


  27. 「索引作成作業からみたヨーロッパ契約法原則」社会科学研究年報37号(2007年)193-199頁 オーレ・ランドーとヒュー・ビールの編による『ヨーロッパ契約法 Ⅰ・Ⅱ』の翻訳・出版作業の中で、松岡が担当した索引作成作業の観点から、同書の意義と問題点、改善の工夫などについて「研究余滴」としてエッセイ風にまとめたもの。


  28. 「弁済による代位」内田貴・大村敦志編『民法の争点』(有斐閣、2007年)184-186頁 弁済による代位に関して、担保保存義務の問題を除いて、全体の問題状況を概説するとともに、いくつかの点で、判例・通説の問題点を指摘し、新たな提言を行っている。


  29. 「サブリース」内田貴・大村敦志編『民法の争点』(有斐閣、2007年)240-241頁 サブリース契約紛争に関する判例・裁判例・学説の対立の原因・展開過程・今後の展望を簡潔に要約したもの。


  30. 「約束した賃料額はどこまでも守らなければならないか? 」Building195号(2008年)3-4頁 2007年10月22日に大阪ビルディング協会秋期経営セミナーで行った講演の概要。


  31. 川角由和、中田邦博、潮見佳男、松岡久和(共編著)、ユルゲン・バーゼドー、益澤彩、ヘルムート・コツィオール、若林三奈、イヴ・ルケット、馬場圭太、西谷祐子、インゴ・ゼンガー、野田和裕、エドゥアルト・ピッカー、山岡真治、松井和彦、マティーアス・ローエ、田中宏治、ハインリッヒ・デルナー、シュテファン・ヴルブカ、ヨッヘン・タウピッツ、高嶌英弘、ジェラルト・シュピンドラー『ヨーロッパ私法の展開と課題』(龍谷大学社会科学研究所叢書第78巻、日本評論社、2008年) ヨーロッパ契約法研究会(代表:川角由和・龍谷大学教授)が龍谷大学社会科学研究所の助成の下で「ヨーロッパ私法に関する総合的研究」(2004年度-2006年度)として遂行した共同研究の成果をまとめたもの。全体の編集を担当したほか、社会科学年報37号に掲載した上記27の「索引作成作業からみたヨーロッパ契約法原則」を修正して収録したほか(369-378頁)、「国際売買をめぐる諸問題」に関するインゴ・ゼンガー教授の講演に対するコメントを掲載した(221-225頁。本書が初出)。


  32. 加藤雅信、加藤新太郎(編著)『現代民法学と実務(下)』(判例タイムズ社、2008年)「第15章 サブリース裁判例の新動向」71-131頁 21.の鼎談を修正補充して収録したもの。


  33. 「土地の数量指示売買」安永正昭、鎌田薫、山野目章夫編『不動産取引判例百選[第3版]』別冊ジュリスト192号(2008年)148-149頁 『不動産取引法判例百選[第3版]』第73事件・最判平成13年11月22日の判例解説で、判例の方向性に賛意を示すほか、競売の場合の担保責任排除の問題性や、この場合の契約責任説による問題処理のあり方について指摘する。


  34. 「土地の面積超過と増額請求の可否」安永正昭、鎌田薫、山野目章夫編『不動産取引判例百選[第3版]』別冊ジュリスト192号(2008年)150-151頁 『不動産取引法判例百選[第3版]』第74事件・最判平成13年11月27日の判例解説で、増額請求を否定した判決に対して、契約責任説の考え方から疑問を呈すると共に、共通の表示錯誤という視角からの検討の必要性をも指摘する。追記:事案の紹介においてXとYが入れ替わってしまっていました。添付したpdfのように修正するようお願いし、併せてお詫び申し上げます。


  35. オーレ・ランドー、エリック・クライフ、アンドレ・ブリュム、ライハンルト・ツィンマーマン(編)、潮見佳男、中田邦博、松岡久和(監訳)『ヨーロッパ契約法原則Ⅲ』(法律文化社、2008年) 『ヨーロッパ契約法ⅠⅡ』の続刊の翻訳で多数当事者の債権関係、債権譲渡、債務者の交替・契約の譲渡、相殺、時効、違法性、条件、利息の元本への組入れを扱う。全体281頁の監訳のほか、第11章債権譲渡(51-94頁)を藤井徳展と共同で翻訳、文献一覧(227-242頁)の翻訳と編集、索引(251-281頁)の作成を担当。翻訳参加者は、石上淑子、荻野奈緒、乙宗祥代、小根田直徹、加藤沙代、木村悠里、阪上淳子、坂口甲、田井義信、高嶌英弘、武田直大、冨田大介、野々村和喜、藤井徳展、古谷貫之、米谷壽代、松尾健一、三輪修子、村田大樹、森山浩江、若林三奈、和島亜寿沙の各氏。


  36. 「弁済の立法論的考察」太田知行、荒川重勝、生熊長幸編『民事法学への挑戦と新たな構築 鈴木禄弥先生追悼論集』(創文社、2008年)371-424頁  民法改正研究会(代表:加藤雅信上智大学教授)で起草を担当した民法第3編第1章第5節第1款474-504条に関する改正提案につき、条文、提案概要、提案理由をまとめたもの。


  37. 「原因関係を欠く振込みに係る預金の払戻請求と権利濫用」『平成20年度重要判例解説』(ジュリスト臨時増刊1376号、有斐閣、2009年)75-76頁  最二小判平成20年10月10日の意義を権利濫用論を否定したものではなく、むしろそれが主張できる要件を限定的に解し、誤振込によっても預金債権が成立するとした最二小判平成8年4月26日と平仄を合わせようとしたものであるとする理解を示す。


  38. 中田邦博、寺川永「私法学のヨーロッパ化」をめぐっての質疑応答 ― ラインハルト・ツィンマーマン教授による講演を受けて」民商法雑誌140巻3号(2009年)294-296頁  ツィンマーマン教授の講演会における代表総括質問を掲載(293-305頁中の3頁)。


  39. 「賃料改定がされた場合の建物の賃料減額請求の判断方法」金融法務事情1876号(2009年)75-78頁  最二小判平成20年2月29日の意義を賃貸借契約一般に及ぶ射程の広いものと捉えたうえ、鍵となる「直近合意賃料」の認定がはらむ問題点と留意すべき点を指摘する。


  40. 永田眞三郎、横山美夏、松本恒雄、松岡久和『債権 エッセンシャル民法*3』(有斐閣、2010年) エッセンシャル民法のシリーズ第3弾で、債権法全部をコンパクトにカバーする入門書。全352頁のうち、第12章役務提供契約(249-265頁)、第13章その他の契約(267-276頁)、第14章不法行為(279-319頁)、第15章不当利得(321-333頁)、参考文献(335-336頁)、事項索引(339-352頁)を担当。


  41. 潮見佳男、中田邦博、松岡久和(共編著)『概説国際物品売買契約』(法律文化社、2010年) 国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)の簡潔な概説書で、全212頁のうち「第7章 義務違反に対する救済 Ⅰ 総論」(128-131、199頁)を執筆し、全体を3人で企画・編集した。その他の執筆者:高杉直、中西康、樋爪誠、馬場圭太、高嶌英弘、藤井徳展、吉永一行、吉政知弘、山田到史子、若林三奈、松井和彦、野々村和喜、野田和裕

  42. 川角由和、中田邦博、潮見佳男、松岡久和(共編著)『ヨーロッパ私法の現在と日本法の課題』(日本評論社、2011年) Current Issues of European Private Law and Japanese Law(欧文タイトル) ヨーロッパ契約法研究会の共同研究成果をまとめた第3弾。龍谷大学社会科学研究叢書第88巻。全610頁中、既発表の「日本の契約法の現代化と国際物品売買契約に関する国際連合条約」(145~168頁)、「ヨーロッパ民法典構想の現在」(325~346頁)を若干の修正のうえ収録。


  43. 「担保保存義務の忘れられた要件」現代民事判例研究会編『民事判例Ⅱ 2010年後期』(2011年)6-21頁 担保保存義務が過酷として免除特約を多用する前に、立法過程・比較法(PELとDCFRの異同)・モデル設例によって、償還不能限度を明確に要件として位置づけると共に、想定競売価格を現実的な仮定をして精密化することを主張する。法科大学院の民法総合3の担保保存義務の回について、しかるべき参考文献がないので、そのために書いた論文。かなり思い切った・通説的見解とは異なる主張を展開していますが、自分ではよく考えた自信作と言ってよいでしょう。


  44. 「消費者撤回権と民法法理」現代消費者法16号(2012年)54-64頁 2012年度の日本消費者法学会第5回大会におけるシンポジウム「消費者撤回権をめぐる法と政策」のための報告原稿。消費者層の集団的保護という観点から、制度の根拠としての民法法理との連続性(私的自治の機能不全)と手法としての非連続性の両面から考察を加え、政策的・裁量的で試行錯誤しつつ進化する性格が消費者撤回権にあることを指摘する。その具体例として、従来、クーリング・オフとの違いが強調されすぎた過量販売撤回権と通信販売の撤回権・返品権、および最近立法された訪問購入撤回権を取り上げ、総論的視点で分析する。これも近時有力な理解に対するアンチテーゼで発想の展開を迫るそれなりの自信作。
     この論文の前に、第2回東アジア民法学術大会での報告のための原稿として作成し、消費者法学会シンポジウム用報告原稿に外国向けの説明を加え、各論を1つだけに絞ったもの。中国語訳と韓国語訳がある。「民法における消費者権益保護の問題」国際シンポジウム報告資料集2巻35-43頁、79-86頁、129-140頁。また、同じ原稿を下に清華大学でも講演を行い、そちらにも別バージョンの中国語訳と質疑記録が掲載されるようです。


  45. 「不動産事業と建物賃貸借 ── サブリース判決の功罪」松尾弘・山野目章夫(編著)『不動産賃貸借の課題と展望』(商事法務、2012年) 2012年度の日本私法学会シンポジウム「不動産賃貸の現代的課題」を契機に、不動産賃貸借の多様な論点について、理論と実務の双方の視角から、課題と展望を総括する企画本に寄稿した論文。全538頁のうち361-375頁を分担執筆。サブリースに関する多くの最高裁判決の総合的な分析を用いて不動産事業に借地借家法が適用されることからくる問題点を指摘する。平成15年の3つのサブリース判決がその後にサブリース以外のオーダーリースや一般の賃貸借契約にも拡張されていくことから、その法理を一般性のあるものと捉えると同時に、強行規定論には限界もあると主張する。


  46. 「片山直也著『詐害行為の基礎理論』(民法学のあゆみ) 」法律時報85巻5号(2013年)121-126頁 民法学のあゆみの研究会の報告に基づく書評で、長年の研究成果をまとめ、フランス法における議論の展開を緻密に分析し、それを踏まえて詐害行為の対抗不能という一般法理の確立を目指す本書を高く評価するとともに、転用論の根拠の危うさをも指摘する。


  47. 「消費者撤回権と民法法理」消費者法5号(2013年)27-30頁 2012年度の日本消費者法学会第5回大会におけるシンポジウム「消費者撤回権をめぐる法と政策」の報告要旨。詳しくは344の現代消費者法掲載論文の項を参照。


  48. 「消費者撤回権をめぐる法と政策・ディスカッション」消費者法5号(2013年)47-111頁 2012年度の日本消費者法学会第5回大会におけるシンポジウム「消費者撤回権をめぐる法と政策」のディスカッションの記録。討論参加者:坂東俊矢、山本豊(司会)/清水巌、尾島茂樹、山本顯治(コメンテーター)/山本豊、村千鶴子、齋藤雅弘、万場徹、松岡久和、石川博康、加賀山茂、松本克美、平田健治、執行秀幸、畑野浩朗、吉田克己、河上正二、中田邦博、田中幸弘(応答、質問)


  49. 「石田剛『債権譲渡禁止特約の研究』(民法学のあゆみ)」法律時報88巻3号(2016年)113-116頁 NEW! 民法学のあゆみの研究会の報告に基づく書評で、債権譲渡禁止特約に関するドイツ法の歴史的展開を主として参照し、相対的無効説を評価する観点から民法改正案を評価してあるべき立法論に及ぶ。手堅く慎重な検討手法を高く評価し債権譲渡一般への研究の拡大を期待する。、一方、第三者対抗要件と債務者対抗要件の関係や譲渡制限について債務者が有する多様な利益を保護する方法については疑問も呈する。



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6.不当利得

  1. 「債権または優先権を有しないのに配当を受けた債権者に対する抵当権者からの不当利得返還請求の可否」金融法務事情1304号(1991年)66-69頁 最高裁平成3年3月22日判決の批評。配当異議手続の懈怠によっても、価値支配権たる抵当権に基づく侵害利得返還請求権は失権しないとする最高裁判決の論理と従来の学説の対立を検討する。2個所誤植があり恥ずかしいうえ、下記3論文で、この判例批評での見解を改めているので、現在では参照価値に乏しいが、ときおり引用されることがあり困っている。


  2. 前田達明・篠塚昭次編『新・判例コンメンタール民法8 契約[3]・事務管理・不当利得』(三省堂、1992年) 判例を中心とする民法のコンメンタール(共著)。民法第703条から708条までの不当利得制度全般につき、類型論の立場から判例を批判的に整序する(258-313頁)。不備もあるが自分でも力作だと思う。


  3. 「過誤配当と不当利得」『谷口知平先生追悼論文集2』(信山社、1993年)521-545頁 過誤配当がなされた場合には、多額配当受領者に対する、少額配当受領者の不当利得返還請求が問題となる。本稿は、実体法上の不当利得の類型論の立場から、判例の結論を支持し、担保権者についてのみ異議手続を懈怠した場合にも不当利得の返還請求を肯定する。


  4. 「原状回復法と損害賠償法」ジュリスト1085号(1996年)86-95頁 1996年度私法学会シンポジウム「取引関係における違法行為とその法的処理-制度間競合の視点から」に向けた報告の一つで、原状回復法の中心をしめる給付利得制度と不法行為に基づく損害賠償制度の関係を論じる。無効・取消を行わないままで不法行為による損害賠償請求を行うことは、評価矛盾ではないかという問題提起に対し、両制度の原理的制約から、救済手段の実効性確保の観点を尊重すれば、両制度は併存して機能を分担する関係と理解してよい、との反論を試みた。シリーズ連載の第7回分の担当で奥田昌道編『取引関係における違法行為とその法的処理──制度間競合論の視点から』(有斐閣、1996年)54-63頁に若干の訂正・追記を付して採録(合本)。


  5. 「恩給裁定の取消しと恩給担保貸付機関の不当利得」社会保障判例百選〔第三版〕(別冊ジュリスト153号、2000年)86-87頁 恩給裁定が取り消された場合に、恩給を担保に貸付をして払渡しを受けた国民金融公庫に対して国が不当利得の返還を請求することはできないとした最三小判平成6年2月8日の解説。本判決は、受給者の不当利得を種々の構成で制限する判例と同様に、信義則違反・権利濫用法理によるものと解されるが、そもそも出捐関係当事者を不当利得当事者とする全訂自体が、三角関係における給付利得当事者確定の一般理論との関係で見直される必要があると指摘する。


  6. 「騙取金による債務の弁済」『法形式と法実質の調整に関する総合研究Ⅱ 報告書』(トラスト60研究叢書、2000年)91-130頁 騙取金による債務の弁済に関する判例・学説を総合的に分析し、法実質と法形式の調整の観点から、問題を再検討する。問題の実質が騙取された金銭の所有権の帰属自体よりも、むしろ騙取者の無資力危険の配分にあることを指摘し、判例の直接の不当利得構成や有力な物権的価値返還請求権説を批判する。また不当利得の類型論を、法形式によって法実質の制御を精緻化する試みとして評価する。さらに具体例として議論が不十分だった二重無権代理・直接型の紛争類型につき、善意の弁済受領者の不当利得責任を否定する。「終わりに」に、より一般的な法実質と法形式の相互関係についての覚書を付している。


  7. 「川角由和『不当利得とはなにか』(民法学のあゆみ)法律時報78巻5号(2006年)96-101頁  民法学のあゆみ研究会での同名の報告を元にした川角教授の大著の書評。強烈な問題意識と視点をもとに強靱な論理的追究力によって不当利得の類型論の原理的妥当性を徹底しようとする川角・不当利得論をきわめて好意的に評価しつつ、表現や構成の難渋さや解釈論的な詰めの不足を指摘し、以後の研究の展開を期待する、と述べる。


  8. 「不当利得法共同研究序説」民商法雑誌140巻4・5号(2009年)401-427頁  科学研究費補助金(基盤研究(A))の助成を得た3年間の共同研究「不当利得法の国際的現状と動向」の企画内容を紹介し、2008年度の成果をまとめた特集の巻頭論文で、とりわけヨーロッパの共通参照枠草案DCFRに注目する意味を説く。


  9. 瀧久範、松岡久和(共著) 「ツィンマーマン教授との研究会における議論の概要」民商法雑誌140巻4・5号(2009年)487-502頁  特集「不当利得法の国際的現状と動向」の中の1編でツィンマーマン教授との間でヨーロッパの不当利得法の諸問題を論じた研究会の記録。


  10. 瀧久範、松岡久和(共著)「朴報告をめぐる議論の概要」民商法雑誌140巻4・5号(2009年)522-527頁 特集「不当利得法の国際的現状と動向」の中の1編で「韓国における三者関係の不当利得に関する最近の判例の動向」を報告していただいた朴世珉教授との間で日韓の不当利得法の諸問題を論じた研究


  11. 松岡久和、渡邊力、山岡真治、瀧久範、平田健治、潮見佳男、森山浩江、川角由和、油納健一、木南敦、村田大樹、廣峰正子、吉永一行(共訳)「DCFR不当利得編規定の暫定仮訳」民商法雑誌140巻4・5号(2009年)546-528頁(逆開き)  特集「不当利得法の国際的現状と動向」の中の1編でDCFR第Ⅶ編の不当利得の23か条を不当利得法研究会の参加者で分担して訳出したもの。


  12. 「利息制限超過部分受領による貸金業者の悪意の受益者性」潮見佳男、長谷川貞之、清水恵介編『金融・消費者取引判例の分析と展開』(金融・商事判例増刊1336号、経済法令研究会、2010年)82-83頁 最高裁平成21年7月10日判決を従来の判例に沿うものと位置づけ、肯定的に評価すると共に、民法704条自体の持つ問題性にも簡単に言及する。


  13. 「ヨーロッパ民法典構想の現在 ── 不当利得法に関するDCFR第Ⅶ編を素材として」戒能通厚、石田眞、上村達男編『法創造の比較法学 先端的課題への挑戦』(日本評論社、2010年)181-204頁 早稲田大学の比較法研究所の連続講演企画「新世紀における比較法の理論的・実践的課題」の最終回(2009年10月9日)に行った講演とそれを基礎として京都大学法学研究科国際シンポジウム「法の統一と多様性」で行った報告をベースに2010年3月末までの状況を反映させたもの。第Ⅶ編の不当利得を素材にDCFRの意義と現在直面している問題点を検討し、不当利得条文モデルの成立は、不当利得制度が平準化を予定していない多数の法分野を反映する点できわめて困難であるとしつつ、ヨーロッパが将来に統一民法典をめざす動きのうえでは、多面的な議論を喚起するきわめて重要な第1歩と評しうると述べる。執筆者:戒能通厚、上村達男、松浦好治、笹倉秀夫、原田純孝、楜澤能生、田山輝明、西原博史、菊池馨実、小川浩三、藤岡康宏、松岡久和、加藤雅信、鎌田薫、内田貴、ラインハルト・ツィンママン、ヒュー・コリンズ、ギュン・ゴック・ディエン、陳聡富、石田眞、石橋洋、カール・クラーレ、林弘子、ブルーノ・カルーソ、大木雅俊、オーレ・ハッセルバルフ、和田肇、盧尚憲、根本到、島田陽一。全552頁。


  14. 川角由和、中田邦博、潮見佳男、松岡久和(共編著)『ヨーロッパ私法の現在と日本法の課題』(日本評論社、2011年) ヨーロッパ契約法研究会の共同研究成果をまとめた第3弾。龍谷大学社会科学研究叢書第88巻。全610頁中、既発表の「日本の契約法の現代化と国際物品売買契約に関する国際連合条約」(145~168頁)、「ヨーロッパ民法典構想の現在」(325~346頁)を若干の修正のうえ収録。


  15. 「ヨーロッパ不当利得法の比較法的概観」民商法雑誌144巻4・5号(2011年)670-569頁(逆開き) Study Group on a European Civil Code, prepared by Christian von Bar and Stephen Swann, Principles of European Law: Unjustified Enrichment, sellier, Stämpfli and Bruylant, 2010 (cited as PEL/von Bar, Swann, Unj. Enr.)のIntroduction(pp.91-180)の翻訳でヨーロッパ各国の不当利得法の制度と運用に関する要領のよい概観と分析を内容とする。


  16. 「不当利得法の全体像 ── 給付利得法の位置づけを中心に」ジュリスト1428号(2011年)4-13頁 私法学会シンポジウム「不当利得法の現状と展望」の資料としての特集の第1報告で民法改正で議論されている提案を比較法的に肯定しつつ、さらに規定すべき問題、不当利得法一般の問題にも言及する。


  17. 「《特集》 不当利得に関するフランス法・序論」民商法雑誌145巻4・5号(2012年)409-417頁 私が責任者として企画した《特集》 不当利得に関するフランス法の序論で、日本法とフランス法の異同を概説して本共同研究の意義を述べ、特集を構成する各原稿の概要と意義や用語法について説明する。


  18. 廣峰正子、荻野奈緒、松岡久和(共著)「ヴィヴァン教授との研究会における議論の概要」民商法雑誌145巻4・5号(2012年)467-480頁 《特集》 不当利得に関するフランス法の第5を構成する研究会記録で、主として日本法で侵害利得に相当する部分がフランス法ではどう処理されるのかについて、知的財産法と民法の専門家であるヴィヴァン教授との対話により明らかにする。私が主として作成した質問票を廣峰・荻野が飜訳して回答を整理し、私が最終的に原稿としてまとめた。


  19. 荻野奈緒、松岡久和(共著)「ロシュフェルド教授との質疑応答」民商法雑誌145巻4・5号(2012年)511-531頁 《特集》 不当利得に関するフランス法の第7を構成するメールによる質疑往復の記録で、主としてフランス民法改正案におけるコーズ概念の位置づけや無効な契約の清算に関する規律の提案と原因なき利得との関係について、ロシュフェルド教授との対話で明らかにする。主として私が作成した質問を・荻野が飜訳して回答を整理し、私が最終的に原稿としてまとめた。


  20. 「法律行为被认定为无效后的已给付利益清算(無効と認められた法律行為についての給付済利益の清算)」(中国語訳)环球法律评论(環球法律評論) 英語名:GLOBAL LAW REVIEW (中国社会科学院) 2012/第2期(34巻)22-33頁  上記16の「無効な法律行為の清算」を中日民商法研究会第10回大会用に修正した原稿を、私の弟子である朱涛・天津財経大学講師が中国の理論法学雑誌に飜訳して掲載したもの。国際的に興味を持っていただくのは嬉しい。


  21. 磯村保(司会)/松岡久和、川角由和、平田健治、藤原正則、吉川慎一(以上報告・回答)、加藤雅信、滝沢聿代、山田卓生、花本広志、清水元、森田宏樹、米村滋人、柴崎暁、高見進(以上質問)「《シンポジウム》不当利得法の現状と展望」私法74号(2012年)51-101頁 私が代表をつとめた日本私法学会第75回大会シンポジウムの討論の記録。


  22. "Symposium: The Statau Quo and Prospects of Unjust Enrichment Law: The Unjust Enrichment Law System: Problems on the Conceptualisation of "Performance Condictions"私法74号(2012年)335-334(逆開き) 日本私法学会第75回大会シンポジウムの欧文概要(松岡報告分)。


  23. 「転用物訴権」中田裕康=窪田充見編『民法判例百選Ⅱ債権[第7版]』(有斐閣、2015年)154-155頁 New! 最三小判平成7年9月19日の判例解説。従来の学説に加えて、先取特権等による優先権が認められうるのであれば、その喪失を理由とする不当利得返還請求権が類型論の下でも成り立ちうることを示した点が新しい。



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7.不法行為

  1. 林良平編『注解判例民法 債権法Ⅱ [債権各則、契約(2)、事務管理、不当利得、不法行為]』(青林書院、1989年) 判例を中心にしたコンメンタール(共著)。民法第712条(未成年者の責任能力)第713条(心神喪失者の責任能力)、第714条(責任無能力者の監督者の責任)の部分を分担執筆(1283-1301頁)。


  2. 澤淳一・豊田一成編『こんなときどうする? 子どものスポーツQ&A 指導者・保護者の110番』(アイオーエム、1994年) 滋賀県体育協会スポーツ科学委員会研究活動プロジェクトへの寄稿を元にしたスポーツ指導者向けの啓蒙書(共著)。スポーツ事故と責任について、Q104-110(234-247頁)を分担。法的責任一般、子どもの年齢による指導者の注意義務の違い、練習や試合会場への途上での交通事故、指導者が来るまでに起こった事故、運動場の凹凸による事故、フェンスへの衝突事故を解説。まあ余技の仕事。


  3. 「変額保険の勧誘と銀行の法的責任」金融法務事情1465号(1996年)17-29頁 変額保険の保険料を融資した銀行の責任を問題とする裁判例29件を総合的に分析する。現在のところ銀行の責任を認める判決は、銀行が募取法違反に該当するような違法な勧誘等を行っている事例に限られている。しかし、学説上のあらたな理論動向や銀行により高い注意義務を課する傾向を考慮すると、責任を肯定する判決は、決してレア・ケースではなく、責任の厳格化も十分ありうる、と結論づける。


  4. 「変額保険の勧誘における説明義務違反と損害賠償責任」私法判例リマークス15号(1997年)60-64頁 東京高判平成8年1月30日の判例批評。同判決は、相続税対策を目的とする変額保険への加入の勧誘について、保険会社の外務員に説明義務違反を認めたものであるが、先例・学説を整理した上で、本判決を基本的に是認し、なお残る問題点を提示する。銀行の責任を論じた別稿と姉妹編の関係。


  5. 「商品先物取引と不法行為責任-債務不履行構成の再評価」ジュリスト1154号(1999年)10-20頁 商品先物取引紛争は、一体的不法行為論による救済を発展させてきたが、最近では、勧誘段階での違法性が乏しくもっぱら取引方法や内容に問題のある事例が登場している。また、義務の性質と内容、業者の履行請求の扱い、損害評価、契約の有効性肯定との評価矛盾など、不法行為構成は問題を抱えている。そこで、枠としての基本契約とそれに基づく個別契約という構造の中で、基本契約で設定された信認関係に基づく忠実義務を構想し、その債務不履行を民法六五〇条一項の弾力的運用などに結びつける試論を展開する。


  6. 「馬場圭太・フランス法における情報提供義務理論の生成と展開(一)(二)及び説明義務の履行と証明責任(民法学の歩み)」法律時報72巻1号(2000年)145-149頁 馬場氏の2本の論文を紹介し検討する。積極的根拠と消極的根拠の衡量によって説明義務を捉えるという二極構造論、および、図式としての根拠と具体的ファクターの二層構造論という構造分析、二極構造を反映した立証責任論を評価する反面、抽象的な根拠論を先行させる意味や具体的ファクター設定への反映の方法などには疑問を呈する。


  7. 「商品先物取引被害救済における債務不履行構成の再評価」先物取引被害研究18号(2002年)5-22頁 2001年9月14日に富山で開催された第46回先物取引被害全国研究会での講演記録と配布したレジュメを掲載したもの。内容は、上記5の論文を再構成し、予めいただいていた6点の質問事項への回答を織り込んだもの。表紙の「研究資料」のところに、関係ファイルが置いてあります。


  8. 「投資取引と勧誘業者の説明義務」廣瀬久和、河上正二編『消費者法判例百選』(別冊ジュリスト200号、2010年)134-135頁 東京地判平成15年5月14日を素材に、説明義務と適合性原則の関係の整理を試み、両者の分離と再結合という法規制の変遷をふまえ、潮見佳男や王冷然の見解に、排除の論理を採らない適合性原則理解の新たな方向性を見出している。


  9. 「不当利得と不法行為 ── 悪意の不当利得者の責任に関する一考察」松本恒雄先生還暦記念『民事法の現代的課題』491-511頁(商事法務、2012年) 民法704条後段の損害賠償責任を不法行為の性格を有する注意規定であるとした平成21年11月9日判決の意義を踏まえつつ、債務不履行責任と構成する可能性を提示し、そのような考え方を採る場合に問題となりうる点を検討する。元は、2011年12 月10 日の第1回束アジア国際民事法学術大会(ソウル大学) において筆者が行った報告である。これも通説的見解に、異なる視角から問題を投げかける異色の主張という点で、最近の私の論稿に共通するものがある。なお、この論文を下に、2012年12月12日に大阪地方裁判所の新任判事補研修会で講演をしたところ、好意的に受け止めていただけたという感触を得ている。



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8.立法過程研究

  1. 「<史料>債権総則(1)-(58)」民商法雑誌81巻3号-100巻2号(1978-89年) 京都大学の前田達明教授を責任者とする債権総則部分の立法過程分析(共同研究)。私は第1回、第2回、第8回、第25回、第33回、第34回、第38回を担当。研究者として最初に名前が出た仕事。


  2. 「数量不足の担保責任に関する立法者意思」龍谷法学19巻4号(1987年)80-125頁 数量不足の担保責任を規定する民法565条の立法趣旨を明らかにするため、法典調査会民法議事速記録を中心に立法当時の議論を要約・整理したもの。数量不足の担保責任に関する注釈民法のための助走のようなもの。


  3. 「<史料>物権法(1)-(4)」判例タイムズ598号、613号、619号、628号(1986-7年) 物権法の総則と占有権の部分について、民法の立法趣旨を解明するため、法典調査会民法議事速記録を中心に立法時の議論を整理・要約したもの。前田達明教授とともに共同研究の成果の原稿を校閲した。


  4. 「<史料>所有権法(1)-(4)」龍谷法学20巻2号、3号、4号、21巻1号(1987-8年) 民法の所有権の規定に関する立法趣旨を解明するため、法典調査会民法議事速記録を中心に立法当時の議論を整理・要約したもの。手嶋豊とともに共同研究の成果の原稿の編集を担当。


  5. 前田達明(監修)、高橋眞、玉樹智文、高橋智也(編著)『史料債権総則』(成文堂、2010年) 京都大学大学院法学研究科の前田スクーリングにおける民法債権総則部分の立法者意思探求(共同研究)の成果を、編者3人が20年をかけて本にまとめたもの。本当にご苦労様でした。総頁783頁中、13-20頁、317-328頁、407-431頁、459-481頁を分担執筆。




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9.その他(民法全体・教育・演習・エッセイなど)


  1. 「法学教育とCAI」龍谷法学26巻3・4号(1994年)390-422頁 法学教育におけるCAIの可能性を、五者択一のクイズ形式の問題演習という実験的な試みに即して考える。この報告は、「ごたく」ゲーム・データの概要、問題データファイル作成、運用実験の進め方、アンケート調査の内容と分析、の4項目について、具体的に記録し、中間的総括を行っている。「ごたく民法」形式は、本質的な問題性をはらむことを自覚すれば、技術的問題点の改良によって、十分使えるものであると結論している(左開・横書き)。パソコンおたくの余技。 なお、この問題は、ごたく on WWW (大野貴司さん作)でプレイできます。


  2. 「インターカレッジ民法討論会」法学教室174号(1995年)61-63頁 1994年11月に龍谷大学で開催したインターカレッジ民法討論会の模様の報告と資料「判例偽報2号」は必見。なお本文中、「龍谷法学27巻3号」は「学生論集24号」の誤り。


  3. 「インターカレッジ民法討論会・債権の二重譲渡と物権の二重譲渡はどこが違う?」法学セミナー515号(1997年)17-22頁 1996年12月開催の第3回インターカレッジ民法討論会での教員ゼミを採録したもの。共同執筆の形をとっていて、録音テープをもとに各発言者が自分の発言を修正・整理・加筆した。物権変動との類似性を強調する七戸意見と、物権と債権の異質性を強調する松岡意見が鋭く対立している。


  4. 「座談会・民法、こんなに楽勝でいいんですか? どうせつまづく民法、それでもめげない入門法」法学セミナー520号(1998年)32-37頁 特集「民法総則でつまずくな」の巻頭の座談会で、「僕らはこうして民法にはまった」「一人で勉強するのは難しい」「民法総則のオススメ本」「わからない部分は読み飛ばせ!」「民法は外国語と同じ」「早いうちに民法全体のマップを入手しよう」「抽象論と具体的事例を頭の中で結び付ける」「目的意識はありますか」などを縦横無尽・奔放に語り合う。松岡が企画責任者となって構成から校正まで一貫して面倒を見た企画。共著者:金山直樹・七戸克彦。


  5. 「民法施行100周年記念座談会」THINK会報95号(司法書士論叢民法施行100周年記念特集号、1999年)75-139頁 100周年記念シンポジウム(同号9-74頁)を受けて開催された、不動産登記のあるべき機能と司法書士のかかわり方を模索することをテーマとする座談会。参加者:鎌田薫(司会)、金山直樹、七戸克彦、高橋良彰、横山美夏、加藤政也、佐藤直路、梶谷光育、小玉光春、齋木賢二、高城宗幸、田中住江、松岡久和。


  6. 座談会「大学の法律実務教育と弁護士」大阪弁護士会会報209号(1999年)43-47頁 大学における法律実務教育が求められている現状と理由、弁護士の講義に何を期待するか、法律学のイメージなどを論じている座談会。紙面が少なかったので、編集がたいへんだったと思います。出席者:田井義信(司会)、磯野英徳(企画・編集)、石井幸三、岩本洋、牛尾洋也、宇田民夫、松浦武、松岡久和。


  7. 対談「民法・ファーストレッスン」法学セミナー546号(2000年)11-14頁 特集「ガイドマップ民法 初めて学ぶ人たちへ」に寄せた金山直樹教授との対談の総論部分。「概念を学ぶ」「ゼミと講義の利用法」「テクストと権力」「興味の持ち方と正義という歯止め」の4項目を論じている。


  8. 対談「キャッチセールスにひっかかった! ── 契約・法律行為・意思表示」法学セミナー546号(2000年)20-23頁 特集「ガイドマップ民法 初めて学ぶ人たちへ」に寄せた金山直樹教授との対談の各論第一問。キャッチセールスにひっかかった場合を例にとって、基礎概念の概説を行い、その後対談の中で条文適用の仕方などを問答式で論じる。


  9. 対談「買う契約をしたパソコンが…… ── 債務不履行・瑕疵担保・危険負担」法学セミナー546号(2000年)24-27頁 特集「ガイドマップ民法 初めて学ぶ人たちへ」に寄せた金山直樹教授との対談の各論第二問。中古パソコンの売買を例に、契約責任の基礎概念を概説した後、条文の適用の仕方を問答式で論じる。


  10. 対談「風邪をうつした責任は? ── 不法行為」法学セミナー546号(2000年)28-30頁 特集「ガイドマップ民法 初めて学ぶ人たちへ」に寄せた金山直樹教授との対談の各論第三問。風邪をうつされて論文が書けずに評判を落としたという設例を設け、不法行為責任の基礎概念を概説した後、条文の適用の仕方を問答式で論じる。


  11. 「業者のセールストークはどこまで許される?」法学セミナー551号(2000年)52-58頁 1999年12月開催の第6回インターカレッジ民法討論会の教員ゼミの記録。セールストークにより値上がりを見込んで退職金で分譲マンションを購入したところ、大幅に値下がりしたという設例につき、学生の討論終了後に、そこでの議論を踏まえて問題を整理し、さらに深める趣旨で、ゼミ担当教員がパネルディスカッションを行った。


  12. 「契約とは何か」大阪市消費者センターくらしの通信講座テキスト『くらしと契約』(大阪市、2000年)12-47頁 通信講座用のテキストで、契約の基本的な仕組みと消費者契約の特徴・消費者保護制度を概説したもの。消費者契約法の施行を目前に、昨年度までのテキストを大幅改稿した。


  13. 「賃料債権の譲渡と物上代位・抵当権の実行の関係」法学教室247号(2001年)118頁 法学教室の民法演習第1回目。参考文献には挙げていないが、物権法の箇所に掲げてある「賃料債権と賃貸不動産の関係についての一考察」の問題意識からの出題。なお、参考文献で、山本とあるのは山本和彦の校正ミス。山本先生および読者のみなさんには、お詫び申し上げます。初回からこれでは思いやられます。


  14. 「賃借人の保証人を相続した者の責任」法学教室248号(2001年)106頁 演習の第2回目。賃借人のガス自殺未遂の事件で、賃借人の保証人の相続人は、責任を負うか、負うとすればその範囲を限定する方法はあるかをテーマにする。実はこのネタは、龍谷大学勤務時代に、実際に法律相談を受けた事例からとっている。


  15. 「盗品の転売の場合の関係当事者の法律関係(1)(2)」法学教室249号131頁、250号134頁(いずれも2001年) 演習の第3・4回。盗品が転々売買された場合の関係当事者の法律関係を分析してもらう問題。(1)では、原権利者と転得者=占有者の関係のうち、善意取得の成否、代価弁償請求権、使用利益返還請求権、費用償還請求権を説明する。(2)では、転得者=占有者の留置権の成否、不法行為責任と、買主=転売主の原所有者に対する不法行為責任・不当利得責任、転得者に対する契約責任を概観する。なお、(2)の左段で『物件・担保物件法』というのは、もちろん『物権・担保物権法』の誤植で、著者再校がなかったため恥ずかしい間違いとなってしまった。


  16. 「表見単独相続人のみを相手とした長期間経過後の任意売却」法学教室251号(2001年)134頁 演習の第5回。大判大正9・5・11民録26輯640頁を素材とした消滅時効や共同相続と登記の複合問題。起承転結と洒落てみたが、問題提起にはなっていても、内容には少々自信がない。判例百選Ⅰの改訂原稿を書いている際に思いついた問題。


  17. 「高リスク取引の違法勧誘に対する救済方法」法学教室252号(2001年)144頁 演習の第6回。商品先物取引の違法勧誘に対して、法律行為・不法行為・債務不履行の3つの観点から救済を考えてもらおうという問題。先物被害全国研究会で「商品先物取引と不法行為責任-債務不履行構成の再評価」を下にした講演をすることになって、自分の論文を読み返して作った問題。


  18. 「抵当権に基づく妨害排除と賃料債権・損害金への物上代位」法学教室253号(2001年)142頁 演習の第7回。論文や百選の解説でおなじみのテーマだけに、ちょっと同じテーマを使いすぎかとも思わなくはない。商法の高田君などが軽妙な会話体を多用しているのを見て、お好み映画監督の名前を使ってみました。ほんとうの私はこれほど関西弁丸出しではありません。


  19. 「契約とは何か」大阪市消費者センターくらしの通信講座テキスト『くらしと契約』(大阪市、2001年)16-45頁 通信講座用のテキストで、契約の基本的な仕組みと消費者契約の特徴・消費者保護制度を概説したもの。消費者契約法の施行・訪問販売法の特定商品販売法への改訂を中心に、昨年度のものを大幅改稿した。課題も昨年のものから、独居高齢者への強引な勧誘の例に差し替えた。


  20. 「住宅ローンと生命保険契約 第7回インターカレッジ民法討論会 第3部 白熱! 教員討論」法学セミナー563号(2001年)14-22頁 2000年12月開催の第7回インターカレッジ民法討論会の教員ゼミの記録。出題は坂東俊矢京都学園大学教授で、住宅ローンの返済を確実にするための生命保険契約につき、保険会社が癌で亡くなったローン借主=被保険者の告知義務違反を理由に保険金を支払わない場合、銀行からのローン返済請求に対して遺族がどのような主張を出せるかを題材とする。討論会は、第一部出題と解説、第二部これが優勝ゼミの報告だ(うちのゼミの植村君の執筆)に続いて、第三部として、教員のパネルディスカッションを再現したもの。討論参加者:坂東俊矢、金山直樹、中田邦博、高嶌英弘、鹿野菜穂子、松岡久和。


  21. 「書評・大村敦志『基本民法Ⅰ 民法総則・物権総論』」法学教室254号(2001年)103頁 大村教授の教科書の書評。いただいた本に添えられた手紙が本書をフランス料理のヌーヴェル・キュイジーヌにたとえたエレガントなものであったので、悪のりして書評は料理評を模してみた。お楽しみいただけたでしょうか。なお、大村教授からは、丁寧なお礼状が届いて恐縮している。


  22. 「建築工事請負代金債権の確保方法」法学教室254号(2001年)130頁 演習の第8回。建築工事請負人の請負代金債権を確保する方法として、同時履行の抗弁権、破産の場合の処遇、所有権帰属による保護、約定担保権による自衛措置、不動産工事の先取特権、留置権の主張を総合的に検討する。担保物権法の箇所に掲げた「不動産留置権に関する立法論」が元ネタ。


  23. 「妻による夫の財産の無断処分」法学教室255号(2001年)134頁 演習の第9回。妻が夫名義の預金を引き出したり、共有の別荘を夫に無断で売却した場合について、日常家事代理権と表見代理の成否、売主の担保責任、自称代理人と債権の準占有者への弁済、不法行為・不当利得責任と準事務管理、離婚の際の清算としての財産分与などを検討する。これの元ネタは、かつて同志社大学で民事法演習を担当した際に、報告担当学生が作ってきた問題。


  24. 「消費者法の実効性」消費者法ニュース49号(2001年)74頁 消費者法が実際に期待通りの力を発揮できているか、紛争処理の量・質の両方の面で、検証する必要があることを指摘するエッセイ。本誌は10月発行となっているが、実際に発行されたのは12月。原稿は8月に書いたのだが、テーマが時期ものでなくてよかった。


  25. 「天災と賃貸借契約」法学教室256号(2002年)142頁 演習の第10回。阪神・淡路大震災7年目にちなんで、震災で賃借家屋が損傷したり、物理的な損傷の復旧後も電気・ガスなどいわゆるライフラインが使用できない場合、賃料の減額を求めることができるか、いわゆる敷引条項は文字通りの効力を有するかを検討する。この元ネタは、毎日新聞からコメントを求められた裁判例。


  26. 「リース契約」法学教室257号(2002年)142頁 演習の第11回。東京地判平成9年11月12日判タ981号124頁の事案と判決を参考にして、リース契約の意義と特質が、錯誤や過大な違約金をめぐる処理にどのように反映するかを検討する。ゼミ生が選んできたゼミ報告テーマに合わせて作った問題を簡略化して採用。


  27. 「制限種類債務の特定と危険移転」法学教室258号(2002年)138頁 法学教室・民法演習の最終回。ゼミの模擬裁判風討論会を紙上再現したもの。制限種類物債務の特定と危険移転の自作問題について、原告・被告・裁判官班の意見を整理し、さらに別の解決の可能性を示す。法政大学の金山直樹教授のメールでの質問に端を発した自作問題で、原稿を書くときまで自分でもどう考えたらよいかよくわからなかった。模擬裁判風討論会の問題として、きわめて良い問題だった。


  28. 「たのしみが、こんなにあったことを発見!」別冊法学セミナー『法学部でいこう!』(2002年)22-23頁 「法学入門2002」の特集PART2「法律学をやろう!・だから法律学はおもしろい!」に寄せたエッセイ風の雑文。個人的な体験に即して法学/民法のたのしさをアピールし、読者が各人の民法のたのしみかたを見つけて欲しいと述べる。


  29. 大橋洋一、松岡久和「公物」法学教室261号(2002年)105-121頁 対話で学ぶ行政法シリーズの対談・第13回。「公物」をテーマに行政法と民法の新たな接点を探る。公物法の基本構造・公物法の現代的課題・公物管理と所有権・公物と私法取引・公物の利用関係・公物と緊急避難・公物と附款論など、幅広い問題を論じた。安易に引き受けて不安をもって臨んだ対談だったが、大橋さんの周到な準備のおかげで、当日の進行も原稿化も構成も楽々でした。冒頭の写真が、痩せて写っていて別人のようだと家族に評されてしまいました。


  30. 「担保・執行法制改革の方向性」銀行実務518号(2002年)3頁 巻頭言の「視点」欄に寄せたエッセイ。担保・執行法改正が、バブル経済の爪痕処理という短期的目標のみに囚われることなく、民法の現代化・中長期的改正課題との接続・整合性のある合理的な案となることを希求する、という趣旨。


  31. 「最高裁判決の理由」金融・商事判例1145号(2002年)2頁 巻頭言「金融商事の目」によせた年4回担当の随想の1回目。物上代位に関する4つの最高裁判例相互間の整合性を問題にし、判決理由がもうすこし詳しく書かれるべきではないかと述べる。


  32. 「引越」金融・商事判例1151号(2002年)2頁 巻頭言「金融商事の目」によせた年4回担当の随想の2回目。予期しない引越が与える様々な不利益を考えれば、短期賃貸借制度の単純廃止の立法論には多いに疑問があることを述べる。


  33. 「インターカレッジ民法討論会第3部 白熱! 教員討論」法学セミナー575号(2002年)80-87頁 2001年度第8回インターカレッジ民法討論会における教員討論(パネルディスカッション)を記録したもの。


  34. 「新しい顔」金融・商事判例1157号(2002年)2頁 巻頭言「金融商事の目」によせた年4回担当の随想の3回目。ホームページが企業の新しい顔として、顧客サービスの質に対する評価の手がかりになると指摘し、法科大学院設立を迎える大学でも顔の整備が急務だと述べる。


  35. 「ベトナム郷約シンポジウムの印象」CaleNews 9号(2003年)8頁 2002年末に参加したベトナム・ハノイ市でのシンポジウム『郷約と法改正』の概要と感想を綴ったもの。なお、Cale は、発行者のCenter for Asian Legal Exchange の略号。


  36. 宇賀克也、大橋洋一、高橋滋編『対話で学ぶ行政法』(有斐閣、2003年) 上記29の法学教室連載の対談集を1冊の本にまとめたもの。「第15章 公物(民法との対話)」で、ゲストとして大橋洋一教授と対談したものを修正し(連載時には横組みだったものを縦組みに直しているだけでなく実質的な修正もあります)再録。


  37. 「ウェイ」金融・商事判例1164号(2003年)2頁 巻頭言「金融商事の目」によせた年4回担当の随想の4回目。担当を終えてホッとしている。今回は、3月に中国を訪れたときに携帯電話をめぐる状況にも、日中の法理解や法意識の差が反映しているのではないかと感じたことを書いたもの。 


  38. 「誤振込事例における刑法と民法の交錯 ── 松宮論文に寄せて」刑法雑誌43巻1号(2003年)90-102頁 平成14年7月21日に大阪学院大学で開催された日本刑法学会関西部会共同研究「刑法と民法の交錯」の同名報告を論文にまとめたもの。正常な銀行振込の法律関係、誤振込事例の法律関係をめぐる最高裁判例と民法学説を分析し、民法秩序と刑法秩序の整合性を重視する限り、誤振込人の金銭の横領罪や銀行に対する詐欺罪・窃盗罪が成立しないと主張する。終わりに、刑法と民法の概念や価値評価の相対性論には限界があり、両者が協働して伝統的考え方への反省と立法的展望を含んだ理論的挑戦を行うべきだとする。


  39. 「民法」アエラムック特集「法科大学院がわかる。」(朝日新聞社、2003年)25頁  特集「法科大学院がわかる。」に寄せた民法の科目イメージ紹介。「法科大学院を射程に入れて法学部進学を考えている高校生にもわかるように書いてほしい」という依頼に忠実に応えたために、非常に初歩的な内容になっており、法科大学院での民法の扱いには触れられず、他の方の原稿とは少し浮いてしまっていて恥ずかしい。


  40. 「不倫関係と生命保険契約」法学セミナー587号(2003年)38-43頁 2002年度第9回インターカレッジ民法討論会における教員討論(パネルディスカッション)を記録したもの。討論参加者:金山直樹、中田邦博、高嶌英弘、松岡久和、坂東俊矢、鹿野菜穂子、若林三奈、森山浩江、七戸克彦。


  41. 「2003年度民法第三部債権総論の問題から」法学セミナー589号(2003年)49-50頁 特集「全国法学部 これが民法の試験問題だ」に寄稿したもの。試験問題と出題趣旨・採点基準・講評・アドバイスを含む。中野編集長に相談を受けて企画した特集で、狙いどおりの結果が得られているように思う。それにしても、どの先生も、問題作りには相当時間をかけておられるし、採点も丁寧にしておられるようですね。階段から答案用紙を飛ばすという伝説の教授はもう存在しないのでしょうか。それと、どうやって採点すれば、かくも高い合格率になるのでしょうか。


  42. 「判例の動き 民法」法学教室282号別冊付録・判例セレクト2003(2004年)11-12頁 平成14年10月から同15年9月までに言い渡された民法関係の主な判例を、学習の観点で選択し、最高裁判決を中心に概観する。あわせて、個別解説で取り上げる判例12件の選定と執筆者の依頼を担当したが、執筆者の選定には成功したと思う。ほとんどの皆さんが快くお引き受けいただき、期日までにきっちり原稿を書いていただけた。ありがとうございました。(後日談)法学教室編集委員のD教授からは、贅沢なメンバーを使いすぎで、ジュリストなど他誌の判例解説が頼みにくい、とご批判を受けたが、時期に遅れた攻撃方法の主張だと一蹴した(^_^;)。


  43. 棚瀬孝雄編『東アジア社会の法と近代化』平成16年科学研究費基盤研究(A)(2)成果報告書(共著、非売品、2004年) 前述の「第4章 中国不動産取引法の現状と立法の動向」(ジュリスト掲載論文)を再録(43-55頁)、孫憲忠「第6章 中国物権法制定に関する若干の問題」(鄭芙蓉訳、松岡久和監修)(民商法雑誌掲載)の元原稿を掲載(62-95頁)、船越資晶「第12章 『アジア法社研』企業法務調査の概要」に対する「コメント」(書き下ろし)179-181頁を分担執筆。


  44. 「原島重義『法的判断とは何か 民法の基礎理論』」法律時報76巻8号(2004年)102-106頁 民法学の歩み研究会での同名の報告を元に、原島先生の法的判断論の整理と検討、疑問と課題をまとめた書評。この本に、画期的な意義があることは間違いなく、非常に刺激的で面白く読ませていただいた。共感するところが多い。ただ、哲学的な議論には、正直言って、頭がついていっていなかった点があるし、批判的な目で見ているところもある。とにかく本書自体の一読をお勧めしたい。


  45. 金子宏、新堂幸司、平井宜雄編集代表『法律学小辞典 第4版』(有斐閣、2004年) 定評ある法律学小辞典の改訂に参画し、畏れ多くも、奥田昌道先生が第3版で執筆された項目を書き替えた。担当した項目は、「与える債務・なす債務」「イェーリング」「一般債権者」「一般財産」「基本債権・支分債権」「ギールケ」「現実の提供」「更改」「口頭の提供」「債権」「債権者平等の原則」「債権の準占有者」「債務」「サヴィニー」「作為債務・不作為債務」「時効」(民法関係のみ)「時効の援用」「時効の中断」「時効の停止」「持参債務・取立債務」「自然債務」「主たる債務・従たる債務」「取得時効」「消滅時効」「除斥期間」「スイス民法」「責任」(民法関係のみ)「責任財産」「代位弁済」「第三債務者」「第三者の弁済」「短期消滅時効」「ドイツ民法」「弁済」「弁済の充当」「法定充当」「無因債権・無因債務」「優先弁済」「履行」「履行期」「履行補助者」。私は、①補充を原則とし、その際、『法律用語辞典』の簡潔な記述と対照して、これを参考にする。②大幅な字数超過を避ける。加筆する場合には、既存の記述を削除するよう努力する。不可欠でない接続詞は削除する。③初心者にもできるだけ読みやすくする工夫をする。長めの文章は極力短く区切る。「-,又は-」「-もしくは-」は、差し支えがない限り、「-や-」とする。文語体に近い言い回しは直す。④定義の中に定義される語を使わない、という独自の4つの改訂方針を立てて作業を行った。


  46. 「条例と罰則」消費者法ニュース60号(2004年)1頁 京都市消費者保護条例の改正検討の際に、議論となっている条例への罰則規定の創設をめぐって、どういう考慮が必要かを述べたエッセイ。その後、京都市消費者保護審議会では、罰則規定創設問題につき、罰則検討委員会を設けて検討したが、最終的には、条例に罰則を設けないことになった。下記のurlを参照。
     http://www.city.kyoto.jp/bunshi/soudan/singikai/singikai.htm;(京都市消費者保護審議会答申)
     http://www.city.kyoto.jp/bunshi/soudan/singikai/saishuutousin/basokuhoukokusyo.pdf;(罰則検討委員会報告書)。


  47. 荒井勉、池上政幸、井田良、高橋宏志、戸松秀典、松岡久和「《パネル・ディスカッション》これからの司法試験・司法修習の理想を語る」法学教室289号(2004年)4-33頁 2004年7月23日に開催された有斐閣法律講演会におけるパネルディスカッションの記録で、新司法試験とロースクールの教育につき、あるべき姿を述べた。


  48. 「法情報徒然草」指宿信、米丸恒治編『インターネット法情報ガイド』(日本評論社、2004年)118-126頁 法学の研究・学習にとって電子情報が有する光と陰を私なりの経験から整理してみたエッセイ。


  49. 「賃貸人が目的物を第三者に譲渡した場合の法律関係 白熱!教員討論」法学セミナー600号(2005年)76-83頁 2003年12月の第10回インターカレッジ民法討論会における教員のパネルディスカッションを採録したもの。討論参加者:金山直樹、松岡久和、坂東俊矢、高嶌英弘、七戸克彦、若林三奈、森山浩江、鹿野菜穂子、中田邦博。


  50. 「岩原紳作『電子決済と法』」法律時報77巻1号(2005年)79-84頁 民法学のあゆみ研究会での同名の報告を元にした岩原教授の大著の書評。総合的で広い視野や広範で周到な比較法的考察を高く評価して、民法学への影響の大きさを指摘すると共に、振込委託契約の法的構成・無権限取引・誤振込の3つに絞って、批判的なコメントを付す。


  51. 「判例の動き 民法」法学教室294号別冊付録・判例セレクト2004(2005年)13-14頁 平成15年10月から同16年9月までに言い渡された民法関係の主な判例を、学習の観点で選択し、最高裁判決を中心に概観する。あわせて、個別解説で取り上げる判例12件の選定と執筆者の依頼を担当したが、今回も、執筆者には快くお引き受けいただき、期日までにきっちり原稿を書いていただけた。2年間の担当を無事にこなせてほっとしている。


  52. 「判例分析民法 探す 読む 使う 第1回-第3回 婚姻は無効?(上)-(下)」法学教室295号135-140頁、296号118-123頁、297号74-78頁(いずれも2005年) 初学者向けに、新しく企画した判例講座シリーズの第1回-第3回連載。第1回では、連載の趣旨、連載担当者の紹介のほか、判例や学説の調べ方、読み方を示す。第2回では、子供に嫡出の身分を与えるために、離婚することを約して婚姻したという法律相談事例を素材に、事例と離れて過度に抽象化した判例準則の理解がきわめて危険であることを例証する。第3回目は、関連する論点としてマンション所有権のゆくえと慰謝料請求の問題を取り上げ、高度な検索方法をあわせて紹介する。


  53. 『デイリー六法[平成18年版]』(三省堂、2005年) 本年度から民法債権編以下の担当として編集に加わった。今年度版は、会社法の大改正で参照条文チェックがたいへんだった。


  54. 「法科大学院教育と目指すべき法曹像 ── 市民のために働く法律家とは何か」龍谷法学38巻3号(2005年)1-67頁 2005年7月23日に開催された龍谷大学法科大学院開設記念シンポジウムの記録。私は、第二部のパネルディスカッション「法科大学院教育と目指すべき法曹養成の在り方について」のパネリストの1人として発言し、討論に加わった。


  55. 公道に至るための他の土地の通行権 白熱!教員討論」法学セミナー612号(2006年)60-64頁 2004年12月の第11回インターカレッジ民法討論会における教員パネルディスカッションを採録したもの。討論参加者:七戸克彦、松岡久和、高嶌英弘、坂東俊矢、鹿野菜穂子、中田邦博、森山浩江、若林三奈、佐藤啓子、金山直樹。


  56. 「日本民法学に対するドイツ民法学の影響-個人的研究関心を寄せる3つのテーマを素材に」(2006年) 2005年9月29日・30日開催の「日本におけるドイツ年」記念法学研究集会「グローバル化と法:今世紀の国際的な法秩序に対する日独両国の寄与を考える」の民法部会「国際的な民事法および共通のヨーロッパ法の形成におけるドイツ法の影響」における報告予定原稿。予稿集に収録されシンポジウム前に出版された。ドイツ民法とドイツ民法学の影響を、自己の研究関心の推移に即し、不動産物権変動、不当利得、物権と債権の峻別体系の問題を例として論じ、方向性につき若干の指摘を行うことにしている。内容に微修正を加え、注を付記したものが、村上淳一、ペーター・マルチュケ編『グローバル化と法』(信山社、2006年)に収録された(47-58頁)。


  57. 「第12回インターカレッジ民法討論会 第1部 緊張感の中にも笑いの絶えないゼミ対抗討論会」法学セミナー621号(51巻9号、2006年)48-49頁 2005年12月11日開催の第12回インターカレッジ民法討論会の紹介と立論・質疑応答の総括的講評、討論会の意義と課題などをまとめたもの。


  58. 「第12回インターカレッジ民法討論会 第4部 白熱!教員討論」法学セミナー621号(51巻9号、2006年)55-58頁 2005年度のインターカレッジ民法討論会に出題された問題と参加学生たちの立論・質疑応答を踏まえて行ったパネルディスカッション方式の教員討論の抄録。


  59. 『デイリー六法[平成19年版]』(三省堂、2006年) 今年度版は、法例・法人法の改正等が続いたうえ、参照条文や改正前条文の見直しを図った。


  60. 'Beitraege Japans und Deutschlands zu einer internationalen Rechtsordnung im 21. Jahrhundert' in Junichi Murakami, Hans-Peter Marutchke and Karl Riesenhuber (Hrsg.), "Globalisierung und Recht", Globalisierung und Recht, 2007 2005年9月29・30日に東京のドイツ文化センターで開催された表記のテーマの法学研究集会での報告 "Einfluesse der deutschen Zivilrechtswissenschaft auf die japanische Zivilrechtswissenschaft - Drei Themen meiner persoenlichen wissenschaftlichen Interessen" に加筆修正したもの(独文)。日本語版は上記56。本書第2部第5章に収録(99-106頁)。


  61. 「第13回インターカレッジ民法討論会 第4部 白熱!教員討論」法学セミナー633号(52巻9号、2007年)58-61頁 2006年12月16日に龍谷大学で開催された第13回インターカレッジ民法討論会における参加教員のパネルディスカッションを採録したもの。請負契約における主観的瑕疵の問題をテーマに、兒玉教授のフロアからの飛び入り参加を含め、丁々発止の議論が飛び交った。


  62. 『デイリー六法[平成20年版]』(三省堂、2007年)債権法と親族法の編修を担当。信託法・戸籍法・電子記録債権法の制定・改正への対応と参照条文の見直し・圧縮が今年度版の主たる仕事。


  63. 「気がつけば民法学者」法学セミナー639号(2008年)扉 連続企画「立志」の最後の1編となったエッセイ。消極的動機で法学部に入学した自分が研究者を目指すようになった経緯を紹介した。


  64. 金子宏、新堂幸司、平井宜雄編集代表『法律学小辞典 第4版補訂版』(有斐閣、2008年) 45の『法律学小辞典 第4版』のアップデートで、相次ぐ法改正に伴う参照条文・判例の修正と表現の見直しを行った。


  65. 『デイリー六法[平成21年版]』(三省堂、2008年)債権法と親族法の編修を担当。消費者関連諸法と総合索引の見直しが今年度版の主たる仕事。


  66. 中川淳編『新・現代法学を学ぶ人のために』(世界思想社、1994年、改訂新版:2003年、第2版:2008年 平易な法学の教科書(共著)。第10章「財産権の法的保護」(126-138頁)を担当。財産権の私法上の保護を、債権関係の保護と帰属関係の保護という二つの軸によって整理し、民法の主要な制度の位置づけを説明する個所につき、表現をさらに平易化した。  

  67. 金山直樹、高嶌英弘、坂東俊矢、佐藤啓子、松岡久和、中田邦博、孕石孟則、七戸克彦、鹿野菜穂子、平野哲郎、森山浩江(共著)「第14回インターカレッジ民法討論会 第4部 白熱!教員討論」法学セミナー645号39-43頁 2007年12月15日に龍谷大学で開催された第14回インターカレッジ民法討論会における参加教員のパネルディスカッションを採録したもの。「酔狂な賃借人」につき、賃借目的物の範囲、賃借権の時効取得の成否、解除・解約の可否、費用償還請求の可否、背信的悪意者の排除など多様な論点を含む問題を縦横に論じている。


  68. 「創意工夫に満ちた新しいスタンダード ── 『クロススタディ物権法 ── 事案分析をとおして学ぶ』田高寛貴著」法学セミナー648号126頁(2008年) 田高寛貴『クロススタディ物権法』の書評。基本をしっかり押さえたうえで物権法以外の問題との繋がりを十分意識させ、さらに発展的課題にも言及するなど、教育的な配慮が行き届いた好著と評価し、演習事例問題や要件事実論への言及を改訂に期待する。少し褒めすぎのきらいがないではないが、何より意欲と工夫を買う。


  69. 池田真朗、鎌田薫、松岡久和(共著)「REPORT 早慶合同ゼミナール 不動産取引と登記 ── 賃借権および通行地役権の時効取得と第三者への対抗」法学教室344号(有斐閣、2009年)160-165頁 鎌田薫ゼミ(早稲田)と池田真朗研究会(慶應)の合同ゼミナールにて出題と講評を担当した際の記録で、160頁に問題、163-165頁に講評を掲載している。合同ゼミは実に充実した議論ができていて感心しきりであった。


  70. 金山直樹、鹿野菜穂子、松岡久和、七戸克彦、中田邦博、高嶌英弘、坂東俊矢、佐藤啓子、孕石孟則、森山浩江(共著)「第15回インターカレッジ民法討論会 第4部 白熱!教員討論」法学セミナー657号(54巻9号・2009年)50-53頁 2008年12月20日に龍谷大学で開催された第15回インターカレッジ民法討論会における参加教員のパネルディスカッションを採録したもの。詐害行為取消権の成否と効果につき、多様な論点を含む問題を縦横に論じている。


  71. 松岡久和、中田邦博(以上編者)、川淳一、冷水登紀代、高橋朋子、常岡史子、松川正毅『学習コンメンタール 民法Ⅱ 親族・相続』(日本評論社、2009年)  インターネットで展開する学習用コンメンタールの民法全体のうち、親族法、相続法部分を独立させて紙版で出版したもの。全416頁の編集調整と本書の趣旨を解説する「はじめに」(ⅰ~ⅲ頁)を中田と共同して担当。


  72. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、松岡久和、関俊彦、浜田道代、長谷部由紀子、町野朔、三井誠、山川隆一『デイリー六法[平成22年版]』(三省堂、2009年)  債権法と親族法の編修を担当。今年度版も消費者関係法令の大改正対応が中心となった。


  73. 弘中惇一郎、金子武嗣、岩井信、松岡久和、松宮孝明、石塚伸一(司会) 「座談会・強制執行妨害罪の弁護士業務への適用をめぐって」金子武嗣、石塚伸一編著『弁護士業務と刑事責任』(日本評論社、2010年)59-114頁   安田弁護士事件の裁判をめぐって、企業再生と強制執行妨害罪の関係を議論。松岡は、執行妨害対策が強化された背景、賃料債権や転貸料債権に対する物上代位の議論状況、サブリース形式による賃料差押えへの対応などを解説し、解釈や対応が動いている経済問題について刑事罰をもってのぞむことには非常に大きな萎縮効果があるので謙抑的であるべきだなどと主張した。


  74. 「弁護士の助言と強制執行妨害幇助罪 ── 石塚論文への民事法の観点からのコメント」法律時報82巻9号(1025号)42-45頁   特集「『刑罰からの自由』の現代的意義」に寄せたもので、危機に瀕した顧問会社に対して分社化サブリースを助言した弁護士が強制執行妨害罪に問われた事件の問題性を民法学の立場から分析する。上記73の金子武嗣、石塚伸一編著『弁護士業務と刑事責任』(2010年)所収の座談会での発言の詳細版としての位置づけを持つ。


  75. 奥田昌道、金山直樹、松岡久和、佐々木典子「奥田先生に聞く・1~4  ── 恩師、民法学、スポーツ」(連載中)法律時報82巻10号(1026号)56-67頁、82巻11号(1027号)68-79頁   2010年6月18日に収録した奥田昌道先生にいろいろなことを尋ねる座談会の記録。全部で4回連載。


  76. 「第16回インターカレッジ民法討論会反省座談会」法学セミナー667号(55巻7号、2010年)36頁 第16回インターカレッジ民法討論会で優勝した松岡ゼミの立論チームメンバと反省座談会を行ったもので、優勝報告の功罪を明らかにすることを目的とした。座談会参加者:松岡久和(司会)、以西一真、伊藤敬之、伊藤円香、松本周、森田一至


  77. 金山直樹(司会)、中田邦博、松岡久和、高島英弘、鹿野菜穂子、七戸克彦、若林三奈、佐藤啓子、森山浩江「第16回インターカレッジ民法討論会・第3部 白熱!教員討論」法学セミナー667号(55巻7号、2010年)37-41頁 第16回インターカレッジ民法討論会のテーマについて、参加教員によるパネルディスカッション。瑕疵のある種類物の給付による消費者契約上のトラブルについて様々な論点を縦横に論じる。


  78. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、松岡久和、関俊彦、浜田道代、長谷部由紀子、町野朔、三井誠、山川隆一『デイリー六法[平成23年版]』(三省堂、2010年)   債権法と親族法の編修を担当。今年度版は参照条文や索引項目の見直しが中心だった。


  79. 「民法と消費者法」マイシティライフ207号(2010年)4頁 京都市文化市民局市民生活部市民総合相談課発行の消費生活情報誌に寄せたエッセイで民法改正に伴い民法と消費者法の関係が問われていることを紹介する。


  80. 金山直樹(司会)、奥田昌道、松岡久和、佐々木典子「〈座談会〉 奥田先生に聞く・1~4(完)」法律時報82巻10号(1026号)56-67頁、82巻11号(1027号)68-79頁、82巻12号(1028号)88-99頁、83巻13号(1029号)340-351頁(以上、2010年) 2010年6月18日に収録した奥田昌道先生にいろいろなことを尋ねる座談会の記録。全部で4回連載。スポーツ編が私の主たる担当領域……ってどうなんでしょうね。私は奥田先生の直接の弟子ではありませんで、司会の金山教授のご指名で参加させていただきました。


  81. 潮見佳男、中田邦博、松岡久和(編著)『18歳からはじめる民法』(法律文化社、2010年) 18歳からはじめるシリーズの民法編で、18歳の大学生が自らや身近に遭遇する具体的な法律問題を通して民法の基本的な考え方を知るという形の入門書。企画から三校まで編者としてしっかり見たつもりであり、自らも「7 友人に貸した自転車を取り戻したい」(38-43頁)を執筆。総頁数丁度100頁。


  82. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、松岡久和、関俊彦、浜田道代、長谷部由紀子、町野朔、三井誠、山川隆一『デイリー六法[平成24年版]』(三省堂、2011年)   債権法と親族法の編修を担当。今年度版は親権関連の規定改正のほか、家事事件手続法、非訟事件手続法の新設・改正に伴う参照条文の整理・修正がたいへんだった。


  83. 「第18回インターカレッジ民法討論会」法学セミナー693号(2012年)27-31頁、34-39頁 第18回インターカレッジ民法討論会の概要の報告、問題とその解説を担当(27-31頁)。第3部の白熱!教員討論は、金山直樹(司会)/高嶌英弘、鹿野菜穂子、七戸克彦、中田邦博、松岡久和、吉永一行、寺川永、栗田昌裕、佐藤啓子、坂東俊矢が、参加したパネルディスカッションの記録。今回は瑕疵のある自動車が給付された場合の買主の救済を、法律行為法(詐欺・錯誤と消費者契約法上の不実表示)、売買契約法(瑕疵担保責任)などを横断的に考えるという出題で、ゼミのない私が出題者であったので討論の整理・編集も担当した(34-39頁)。


  84. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、松岡久和、関俊彦、浜田道代、柴田和史、長谷部由紀子、町野朔、三井誠、山川隆一『デイリー六法[平成25年版]』(三省堂、2012年)   債権法と親族法の編修を担当。今年度版は改正が比較的少なく、珍しく楽をさせていただいた。にもかかわらず、総合事項索引の再検討作業は完成できず持ち越しになってしまった。装丁と印刷の色がカワイイのは長谷部ゼミのゼミ生の意見を反映している。


  85. 道垣内弘人(司会)、松岡久和、岡正晶「債権譲渡等、消滅時効、債権の消滅 特集 民法(債権関係)の改正に関する中間試案をめぐって4」ジュリスト1456号(2013年)82-100頁 法制審議会民法(債権関係)部会委員・幹事の対談形式により、民法改正の中間試案の重要論点の内容と提案に至る議論の経緯等を明らかにする対談集第4弾。道垣内の解題、筒井健夫の信義経緯の概要説明に続き、沖野眞已・深山雅也、山野目章夫・中井康之、潮見佳男・高須順一の3組に続いて債権譲渡、消滅時効、債権の消滅の諸論点について語る。


  86. 金山直樹(司会)/栗田昌裕、佐藤啓子、窪田充見、松岡久和、中田邦博、若林三奈、七戸克彦、鹿野菜穂子「第19回インターカレッジ民法討論会[第3部]白熱!教員討論」法学セミナー703号(2013年)51-56頁 19回インターカレッジ民法討論会における教員のパネルディスカッションの記録。今回のテーマは潔癖症を理由とする離婚請求の可否と損害賠償責任(出題者:窪田充見神戸大学教授)。


  87. 「民法改正~プロ向きからより身近にアップデート」旬刊経理情報1354号(2013年)1頁 法律に関係の薄い経理担当者を念頭に置いた民法改正の解説を内容とする巻頭言。


  88. 「民法(債権法)改正の中間試案」法律時報85巻9号1-3頁 法律時評の欄に民法(債権法)改正の中間試案について感じるところを述べる。報道の仕方の問題性、民法改正の必要性、学問の成果としての意義、改正案の今後の予測を取り上げている。


  89. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、松岡久和、浜田道代、柴田和史、長谷部由紀子、町野朔、三井誠、堀江慎司、山川隆一『デイリー六法[平成26年版]』(三省堂、2013年) 債権法と親族法の編修を担当。今年度版は、消費者法関連の一部条文の圧縮などが主たる仕事であった。装丁と印刷の色がカワイイという評判は今年度も続いている。


  90. クリスティアン・フォン・バールほか編、窪田充見、潮見佳男、中田邦博、松岡久和、山本敬三、吉永一行監訳、翻訳担当者多数『ヨーロッパ私法の原則・定義・モデル準則 ── 共通参照枠草案(DCFR)』(法律文化社、2013年) Draft Common Frame of Reference Outline Edition の翻訳。1年以上にわたり徹底した議論を重ね、原著以上に充実した索引を加えた。長期にわたる苦しい作業の甲斐があって美しい本となった。総頁数498頁のうち全体の監訳と「第Ⅶ編 不当利得」(265-279頁)の飜訳担当。


  91. 潮見佳男、中田邦博、松岡久和(編著)『18歳からはじめる民法[第2版]』(法律文化社、2014年) 『18歳からはじめる民法』の第2版で、法令・判例・資料・統計等の変更を反映し、内容やレイアウトの再検討や叙述のいっそうの統一化を図った。 「7 友人に貸した自転車を取り戻したい」(38-43頁)でも細かい修正を行った。総頁数100頁を維持。


  92. 金山直樹(司会)/坂口甲、栗田昌裕、七戸克彦、松岡久和、吉永一行「第20回インターカレッジ民法討論会 [第3部]白熱!教員討論」法学セミナー715号(日本評論社、2014年)58-64頁 第20回インターカレッジ民法討論会における教員のパネルディスカッションの記録。今回のテーマは財産分与と詐害行為取消し(出題者:坂口甲大阪市立大学准教授)。


  93. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、村上裕章、松岡久和、浜田道代、柴田和史、長谷部由紀子、町野朔、辰井聡子、堀江慎司、山川隆一『デイリー六法[平成27年版]』(三省堂、2014年) 債権法と親族法の編修を担当。今年度版は、消費者法関連の一部条文の再圧縮が主たる仕事。


  94. 奥田昌道/松岡久和(聞き手)「[インタビュー]債権関係規定の見直し」法律時報86巻12号(日本評論社、2014年)4-20頁 特集「債権法改正を論ずる ── 要綱仮案の決定を受けて」の冒頭インタビューで奥田昌道先生に全般的にご意見・ご感想を伺った。2014年9月19日の収録の準備も収録後の原稿化も校正も超短時間で苦しい作業であり、聞き手としてはしゃべりすぎのきらいがあるが、奥田先生が関心をお持ちになっているポイントを明らかにしてそれに関する議論の経緯や問題点を示せたのは良かった。


  95. 「民法改正 商取引に変化も」日本経済新聞2015年2月20日付朝刊29面経済教室欄 New! 日本経済新聞経済教室欄に民法改正の要綱案から4つの最重要改正(消滅時効・法定利率・個人保証・定型約款)を選んで簡潔に解説したもの。校正段階で大塚編集長と何度もやりとりをして細かい修正を行った。半徹夜明け疲れた顔の写真で別人みたい。


  96. 金山直樹(司会)/高嶌英弘、金丸義衛、吉永一行、松岡久和、七戸克彦、高須順一、鹿野菜穂子、栗田昌裕、坂口甲、寺川永「第21回インターカレッジ民法討論会 [第3部]白熱!教員討論」法学セミナー727号(日本評論社、2015年)55-61頁 New! 第21回インターカレッジ民法討論会における教員のパネルディスカッションの記録。今回のテーマは無権代理と共同相続(出題者:金丸義衛・甲南大学教授)。


  97. 鎌田薫(編修代表)、大石眞、畠山武道、村上裕章、松岡久和、浜田道代、柴田和史、長谷部由紀子、辰井聡子、堀江慎司、山川隆一『デイリー六法[平成28年版]』(三省堂、2015年) New! 債権法と親族法の編修を担当。今年度版は、民法改正に対応する準備作業を行った。改正案と現行法が併記された付録は使いやすくてよかったですね。



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